なぜ「相続人の配偶者登場」は問題なのか?
財産の分け方には大きなルールがあります。遺言書がある場合は遺言書通りに分ける、遺言書がない場合には「遺産分割協議」といって、相続人同士が話し合いで財産の分け方を決めていきます。ここでは相続人全員の合意が必要となっていきますので、1人でも「納得できない!」という人がいたら話し合いは終わらず、解決するまでずっと続けなければいけません。
これが財産の分け方の基本的なルールとなりますが、事例を交えてよくあるトラブルを見ていきましょう。
「父」「母」「長女」「次女」という家族がいて、お父さんが亡くなったとします。相続人である「母」「長女」「次女」は、財産の分け方をなかなかうまく決めることができません。
「お金のことは難しくて、私たちにはよく分からない!」
そこに「次女の旦那」が現れて、こういいます。
「お義母さん、お義姉さん、僕に任せてください。中立的な立場で話をまとめますよ」
このように、次女の夫が登場して遺産分割のサポートをしてあげるといいます。ここでポイントになるのが、次女の夫は「中立の立場にはなれない」ということです。
次女の夫は「利益相反」という関係にあります。利益相反というのは、1人の人が得すると、もう一方の人が損をする、という関係性のことをいいます。今回の事例でいうと、「母」や「長女」が相続する金額が多くなればなるほど「次女」が手にする金額は少なくなりますし、逆に「次女」が多くの財産を手にすれば、「母」や「長女」が手にする金額は少なくなります。
次女の夫は、次女が多くの財産を手にしたほうが得をする、という立ち位置にあります。このようなときに、中立の立場で話ができるかといえば、本人は「僕ってほんと、中立だよなぁ」と考えていても、ほかの人からすれば「自分たちに都合の良いことをいっている」と感じるでしょう。
次女の夫の提案に対して、母や長女が「もう少し違う考え方があるから、その考え方も取り入れて」というと、次女の夫はこういうわけです。
「私は、休みを返上して話し合いを手伝ってあげているのに、そんな言い方はあんまりだ!」
このような事例はとても多くて、筆者も見てきました。そしてこのような場合、母や長女はこういうわけです。
「そもそもあなたは相続人ではないでしょ!」
こじれにこじれてくると、最悪のケース、「他の相続人の配偶者も参戦!」という事態になってしまうわけです。こうなると、まさしく泥沼です。
自分が中立だと思っていても、他の人からはそうは思われません。あくまでも相続人同士の問題なので、部外者は遺産分割協議に参加するの避けたほうがいいでしょう。
ただし部外者だから無関心、というのは良くないので、きちんと悩みなどは真剣に聞いてあげるべきだと考えます。
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