不動産投資において、最大のリスクは「空室」ではなく「家賃滞納」であるといっても過言ではありません。本記事では、株式会社CFネッツ代表取締役兼CFネッツグループ最高責任者・倉橋隆行氏監修の書籍『賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える賃貸トラブル解決の手続と方法』(プラチナ出版)より一部を抜粋・編集し、実例とともに「賃貸トラブル」の予防策や解決法を具体的に解説します。
契約解除から建物明渡の強制執行までの流れ
物件
東京都〇〇区ワンルームマンション
平成19年契約開始
借主T 男性(70代)一人暮らし・無職
連帯保証人 男性(60代)借主の知人
まず初めに、家賃を滞納して、民事訴訟を提起して、建物明渡の強制執行を実施するという、基本的なパターンをご紹介いたします。
借主Tは、一人暮らしの70代男性です。平成19年に当社との間で東京都にあるワンルームマンションの賃貸借契約を締結しました。当社の管理物件は約7000戸ほどありますので、私のところにあがってくるのは、家賃を支払っていないとか、契約上のトラブルがあるとかいう場合なので、私も今回の借主Tを、平成27年に家賃滞納が始まって、初めて知りました。
契約開始から7~8年くらいの間は、真面目に毎月家賃を支払っていたのですが、平成27年のある日、家賃滞納が発生しました。私が借主Tへ電話をしても、手紙を送っても、全く連絡も支払もありません。
建物を訪問したときは、玄関ドアの蝶番にセロハンテープを貼り、ポストへ封筒を投函し、そして後日、あらためて物件を訪問したときに確認しますと、セロハンテープがちぎれ、ポストの中の封筒がなくなっていましたので、建物に出入りはしているのだろうけれど、2ヵ月間、何の連絡も支払もないという状況が続きました。
こういった場合には、法的手続にて解決を図りますので、「あなたは当社に対し、2ヵ月分の家賃を滞納しています。この2ヵ月分の滞納家賃と来月分の家賃を〇年〇月〇日までに支払ってください。もし支払わなければ、支払期日の翌日をもちまして、契約解除します」という内容の通知書を作成しまして、その通知書を内容証明郵便で発送し、また、その内容証明郵便で発送した通知書のコピーを特定記録郵便で発送、そして同じく通知書のコピーを建物のポストへも投函、このような流れで借主Tへ賃貸借契約解除の催告をしました。
株式会社CFネッツ代表取締役
兼CFネッツグループ最高責任者
1958年生まれ。株式会社CFネッツ代表取締役兼CFネッツグループ最高責任者であり、グループ企業18社を率いる現役の実業家。20社を超える起業に携わり、複数の事業再生案件も成功させている。また、自ら渡米して国際ライセンスのCPM(Certified Property Manager)を日本人で初めて取得しており、現IREM‐JAPANの創生に携わり、2002年の会長に就任している。また、1995年には日本で初めてPMマニュアルを出版、プロパティマネジメントの近代化に取り組んでいるPM業界の第一人者でもある。
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連載管理会社のプロが実例で教える「賃貸トラブル」の解決ノウハウ
株式会社CFネッツ
プロパティマネジメント事業部マネージャー
神奈川県横須賀市出身。専門学校卒業後、IT企業にSEとして6年間勤務。その後、横浜市にある不動産会社にて17年間勤務。2011年8月CFネッツに入社。不動産業界でも経験は20年を超え、特に投資用不動産の資産管理を得意としている。中でも的確なバリューアップ(資産価値向上)提案・空室対策は、多数の投資家オーナーより絶大な支持を得ている。プロパティマネジメント事業部マネージャーとして日々業務に従事し、社員の育成にも力を発揮している。
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有限会社シー・エフ・ビル
マネジメントリーダー
大学卒業後、不動産会社へ入社。分譲マンション販売営業に携わる。その後、賃貸仲介営業を経て、賃貸管理業務に興味を抱き、2011年4月、CFネッツへ入社。CFネッツの管理部門である、シー・エフ・ビルマネジメントでリーダーを務める。保有資格:貸金業務取扱主任者、職業紹介責任者、宅地建物取引士、ビジネス実務与信管理検定。
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