5分後に見に行ったら、なんとパジャマのまま…
朝の支度時間は、親子ともに1日のなかで一番バタバタするものです。
「あと5分で着替えて」
「8時には出るからね」
と子どもに言ったものの、5分後に見に行ったら、なんとまだパジャマのまま・・・。 子どもが「時計は読めるのに、なぜ急げないの?」と不思議に思ったことはありませんでしょうか。
1分が60秒で、1時間は60分、1日は24時間、ということを知っているはずなのに、なぜ子どもは時間通りに動いてくれないのでしょうか。カリフォルニア大学の実験結果から、その理由について考えていきます。

◆実験結果から見えてくる子どもの時間感覚
実験では、3~6歳の子に、次のような質問をしました。
①Aさんは1分間ジャンプをし続けました
②Bさんは1時間ジャンプをし続けました
では、どちらがたくさんジャンプをしましたか?
その他にも、「秒」「日」「月」「年」という時間の単位を用いて、同様の例題を作り、子どもたちに比較をさせました。その結果見えてきたのは、4歳くらいまでには、ほぼ正確に時間の単位を把握しているということです。
しかし、質問のレベルを一段階上げると、その知識が揺らぎました。
◆5歳頃までは時間の単位の感覚が乏しい
①Aさんは3分間ジャンプをし続けました
②Bさんは2時間ジャンプをし続けました
では、どちらがたくさんジャンプをしましたか?
大人であれば、分数や時間数が増減したところで、その判断に迷うことはありません。
しかし、子どもたちにとって、この質問は非常にトリッキーな問題で、5歳の子でさえ、数の多いAさんのほうを選ぶ傾向が強かったのだそうです。
1分よりも1時間のほうが長いことは知っていても、2より3のほうが大きいという知識が、前に出てきてしまったというわけです。
「時計が読める」と「時間管理ができる」のは別のこと
◆7歳でも「時間の長さ」の感覚が曖昧
また、5~7歳の子を対象にした別の実験でも、おもしろいことが分かりました。
子どもたちに、「○○にかかる時間」を、短いものから長いものへと順番に並べてもらいました。
<例>
●まばたきの時間=非常に短い
●朝から夜までの時間=非常に長い
すると、順序自体は正しく並べられても、それぞれの行為がどれくらいの時間を要するのか(○秒なのか○時間なのか、など)までは理解していないことが分かりました。
◆リズムある生活習慣が時間感覚を育てる
時計の授業は小学1年生で始まり、2年生くらいで、ほぼ正確に読めるようになってきます。ただ、それで自動的に「8時だから急がなくては」と、思うようになってくれるわけではありません。
時間管理は、生活習慣を時計に当てはめ、ビジュアル化したものです。だから時計云々よりも、普段からの規則正しい生活リズムがものをいいます。習慣化が大切なのです。
先々、時計を見て行動できる子にするには、小さい頃からリズムある生活を心がけさせることが大切です。毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。そういう基礎的な働きかけが、子どもの時間感覚を育てていきます。