※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)が発行する事業用不動産情報を網羅した専門誌『BZ空間誌』の特集「イノベーションシティ大阪 ビジネスガイド」から一部抜粋し、大阪市で進行する開発プロジェクトを紹介します。

大阪市で注目されるプロジェクト

■大阪梅田ツインタワーズ・サウス

大阪の中心、梅田1丁目1番地に2022年春竣工。百貨店、オフィス、カンファレンス機能を有する26万m2のインパクト

 

御堂筋の北側の起点という一等地で、大阪神ビルと新阪急ビルの2棟を一体的に建て替えるプロジェクト。都市再生特別措置法に基づく道路上空建築の規制緩和を日本で初めて活用し、2つの敷地間の都市計画道路の上空も利用した大規模再開発となる。Ⅰ期棟は2018年4月に竣工、6月には阪神百貨店(阪神梅田本店)が部分開業した。

 

2022年春竣工予定のⅡ期棟の高層部分、11~38階のオフィスゾーンには、大型Sクラスオフィスを整備。梅田の中でも圧倒的な立地優位性、ワンフロア1,000坪超×26層と西日本最大クラスの規模とランドマーク性、そしてBCP機能の充実(専用部に非常用電力15VA/m2を72時間供給等)の3点が特長として挙げられる。

 

さらに「つながる梅田の中心」「おもてなしサービスのあふれるビル」「ウェルビーイングを実感」の3つをオフィスコンセプトに掲げ、カフェやラウンジなど充実の機能を備えたオフィスワーカー専用フロアや、緑を配した約1,000m2の屋上広場などを設置し、ビル全体で働く人、一人ひとりに快適なオフィス環境を提供する予定だ。

 

また11階には、国際会議にも対応可能な約4,000m2のカンファレンスゾーンを用意、災害時には帰宅困難者の一時滞留スペースとしても活用できる。ビル周辺では地下・地上・デッキレベルでの3層歩行者ネットワークを強化し、街の回遊性を高めるほか、梅田で培ってきた当社のエリアマネジメント手法を活かし、地域全体の活性化や防災機能向上、そして国際競争力強化に資する街づくりを進めていく考えだ。

 

大阪梅田ツインタワーズ・サウス イメージ
大阪梅田ツインタワーズ・サウス イメージ

 

うめきた2期地区

2024年の概成に向け、国内屈指のスケールで展開される再開発プロジェクト。都心一等地に出現する緑のまちが、大阪発イノベーション拠点に

 

梅田北ヤード跡地再開発事業、「うめきた2期地区」が始動する。三菱地所を代表企業とするJV9社は、設計・運営事業者6社と共にコンソーシアムを組成、2018年7月に開発事業者に選定された。

 

うめきた2期地区は、北街区(民間宅地1.6ha)、南街区(民間宅地3.0ha)、南北をつなぐ都市公園(大阪市4.5ha)で構成。プロジェクトのテーマは、“みどりとイノベーションの融合”。大阪市のまちづくり構想を具現化する、緑と都市機能が一体化した新しい空間を創出する。イノベーションの中核拠点となる施設は主に北街区に設置し、先行開発区域のグランフロント大阪の「ナレッジキャピタル」とデッキで接続して連携を図る。また都市公園では、一万人規模のイベントも可能な賑わいの広場を整備するとともに、新しいサービスや商品を来街者に実際に体験してもらい、そのデータを収集する等の実証実験の場としても利用する計画。人が活き活きと生きるための「ライフデザインイノベーション」実現に向け、アイデアが創出されるまちを目指す。

 

南街区には賃貸オフィスやMICE施設・商業施設を設置、また南北両街区にホテルを建設して、インバウンド推進を担う。まちへの動線としては、新大阪駅と関西空港方面をつなぐ新線「なにわ筋線」・「JR東海道線支線」の「(仮称)北梅田駅」と地下通路・デッキで直結し、アクセスを向上させる計画となっている。うめきたから大阪、関西、国内外へと広がる価値を生み出すまちづくりに取り組んでいく。

 

うめきた2期地区 イメージ
うめきた2期地区 イメージ

 

ポテンシャルを一気に高める、大阪市の未来構想

(1)夢洲へのIR誘致

大阪府と大阪市では、統合型リゾート(IR)の夢洲への誘致実現に向けた取り組みを進めている。

 

IRとは、民間の知恵と工夫を最大限に活かして、ホテルやレストラン、ショッピングモール、エンターテイメント施設、国際会議場・展示場、カジノ等の施設を一体的に設置・運営するもの。IRの立地により、外国人観光客の増加に伴う消費の拡大だけではなく、観光産業をはじめとする幅広い産業への需要拡大が見込まれ、地域経済が大いに活性化するとともに、質の高い雇用が創出されるなど、大きなプラスの波及効果が期待される。

 

さらに、国際会議場・展示場などのMICE施設については、世界水準の競争力を備えたMICE拠点を形成することとしており、世界規模の商談や知的交流が行われ、最先端の技術動向等の情報が世界に発信されるなど、ビジネス創出に寄与する人・モノ・情報・技術の交流拠点となる。IRは大阪・関西の持続的な経済成長のエンジンとなるものだ。国際競争力の高い世界最高水準の成長型IRを早期に実現することで、大阪の更なる発展につなげていく。

 

協力・画像提供/大阪府・大阪市IR推進局
協力・画像提供/大阪府・大阪市IR推進局

 

(2)新線“なにわ筋線”

新線“なにわ筋線”なにわ筋線は、(仮称)北梅田駅(2023年春開業予定)と、JR難波駅および南海本線の新今宮駅をつなぎ、JR阪和線、南海本線を介して、大阪市の主要鉄道ターミナルである梅田ターミナル、難波ターミナルおよび天王寺ターミナル、国土軸の結節点となる新大阪駅および関西国際空港と直結する機能を有する新規鉄道路線r。

 

なにわ筋線により、大阪都心ならびに京阪神圏の各拠点都市と関西国際空港とのアクセス性が強化される等、広域鉄道ネットワークの拡充が図られるとともに、沿線となるうめきた地区、中之島西部地区、難波・湊町地区および新今宮地区へのアクセス性が向上するため、拠点開発の促進が期待されます。整備区間は(仮称)北梅田駅~(仮称)西本町駅~JR難波駅および南海新今宮駅であり、新駅として、(仮称)中之島駅、(仮称)西本町駅、(仮称)南海新難波駅の整備を計画し、2031年の開業を目指して、事業化に向けて取り組んでいる。

 

新線“なにわ筋線”の予定路線
新線“なにわ筋線”の予定路線

 

(3)リニア中央新幹線

リニア中央新幹線時速500kmで東京と大阪を約1時間で結び、東・名・阪の巨大都市圏の誕生に期待が高まるリニア中央新幹線。現在、国土交通大臣から工事実施計画の認可を受けている品川~名古屋間の工事を進めており、2027年開業を予定している。その後、連続して大阪への工事に速やかに着手し、全線開業は当初予定していた2045年から最大8年前倒すことを目指す。名古屋~大阪間のルートおよび駅位置については、JR東海が建設の前に行う環境アセスメントの段階で、地形・地質や環境など制約条件を踏まえ、超電導リニアの特性を最大限発揮できる直線に近いルートを設定。なお、名古屋・大阪間の環境アセスメントの手続きは、同区間の工事に着手する約4年前に開始する予定だ。

 

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※本連載は BZ空間誌 2018年冬季号 掲載記事掲載当時のものです。
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