大阪市にある「8つのビジネスエリア」…それぞれの強みとは?

ロサンゼルスを本拠とする世界最大(2018年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)が発行する事業用不動産専門誌『BZ空間誌』の特集「イノベーションシティ大阪 ビジネスガイド」から一部抜粋し、大阪市の主なビジネス街の特徴と、企業進出を後押しする行政サポートを見ていきます。

未来につながるビジネスを創出する「大阪市」の魅力

大阪市では現在、世界から人材・技術・投資が集まるイノベーション都市を目指し、多様な取り組みを行っている。未来につながるビジネスを創出し、成長させるための環境整備が進む大阪市の魅力を紹介する。

 

■大阪市のビジネスエリア分析

 

大阪市ビジネス集積地を8つのエリアに分け、主な企業や主要オフィスビル、業務集積傾向を明快にまとめた。

 

[図表1]大阪市の主なビジネスエリア
[図表1]大阪市の主なビジネスエリア

 

新大阪

新大阪駅は、新幹線をはじめ主要鉄道3路線が集中し、関西国際空港とも直結している交通の要衝で、国内外の主要都市へのアクセスに優れている。このため広域拠点性の高いエリアとなっており、広域カバーを要求される卸売業の立地が多い点が大きな特徴だ。製造業は、ウエイトはさほど大きくないものの、全国展開企業の関西統括拠点や東京本社企業等の大阪進出拠点として選定されることが多くなっている。このほか、情報通信関連の大手企業および中小企業等も多数立地する。

 

[図表2]新大阪地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表2]新大阪地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

大阪駅周辺

多数の路線が集結する西日本最大のターミナルが形成されており、新線・なにわ筋線の開業によって、さらなる利便性の向上が期待される。機動性・集客性の高い立地特性を背景に、あらゆる業種の企業が立地しているが、特に集客性を求める企業が多数集積し、金融・保険業、各種サービス業の集積度が高くなっている。一方で、近年、大型でスペックの高いビルが多数供給されたため、各種製造業関連企業等が多数流入しており、ビジネスエリアとしてのポテンシャルも大きく向上している。

 

[図表3]大阪駅周辺地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表3]大阪駅周辺地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

淀屋橋・中之島

堂島川・土佐堀川の水辺と緑により、落ち着いたビジネス環境が形成されている。従来、大阪のビジネスエリアの中心であり、多数の大阪本社企業のほか、大阪市役所、日銀大阪支店、政治・経済・文化団体等が立地。ビジネスエリアとしてのステイタスは高く、イメージ重視の大手企業の進出意向が強くなっており、金融・保険業および情報通信業のウエイトが高い点が大きな特徴。また、製造業のウエイトも比較的高く、大阪を代表する産業である製薬業を含む化学工業関連企業が多く立地する。

 

[図表4]淀屋橋・中之島地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表4]淀屋橋・中之島地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

本町・心斎橋

かつて繊維問屋が集積していた船場地区があることから、繊維関連企業が非常に多い点が特徴。成熟したビジネスエリアである本町駅周辺には、繊維関連以外にも建設業、情報通信関連企業等、多様な業種の立地が見られる。一方、心斎橋駅周辺では、御堂筋沿いには高級ブランドが、通行量の多い心斎橋商店街にはカジュアルブランドが多数出店し、小売業のウエイトが非常に高くなっている。各種小売・サービス業の出店意欲は高く、最近はインバウンド需要をターゲットとする出店が目立つ。

 

[図表5]本町・心斎橋地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表5]本町・心斎橋地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

難波・湊町

大阪第2の乗降客数を誇るターミナルが形成され、関西国際空港と直結していることから、国内外へのアクセスに優れている。髙島屋をはじめ多数の小売店舗が集積し、小売業のウエイトが高いほか、ホテル・飲食店が多く立地。このため集客性は非常に高く、小売、飲食、各種サービス業の出店ニーズも高くなっている。さほどウエイトは大きくないものの、製造業や卸売関連企業が営業拠点を設置するケースも見受けられ、大阪南部エリアをカバーするための重要なエリアとなっている。

 

[図表6]難波・湊町地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表6]難波・湊町地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
 

京橋・OBP

JR、京阪線等が集結するターミナルが存在しており、大阪市内各エリアへの機動性に優れているが、メインストリートである御堂筋からはやや離れているため、営業拠点として選択されるケースは少なくなっている。一方で、OBPは大阪城公園に隣接し、豊かな水辺と緑地を有しているため、周辺環境に恵まれており、良好なビジネス環境を求める企業の集積が見られる。業種別では、情報通信業関連企業のウエイトが高くなっている点が特徴的で、このほか、金融・保険業の大手企業が立地する。

 

[図表7]京橋・OBP地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表7]京橋・OBP地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

阿倍野・天王寺

近鉄線等が集結するターミナルが形成され、関西国際空港と直結しており、交通アクセスに優れたエリア。近鉄百貨店、あべのキューズタウンを中心に多数の小売店舗が立地し、小売業や各種サービス業のウエイトが非常に高くなっており、集客性を求める企業の立地が多い点が特徴。大阪ビジネスエリアの南端に位置するため、営業拠点として選択されることは少なく、難波エリアと同様、製造業や卸売業関連企業といった大阪南部をカバーする拠点が必要な企業に重要なエリアとなっている。

 

[図表8]阿倍野・天王寺地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表8]阿倍野・天王寺地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

咲洲コスモスクエア

大阪都心から車・電車で約20分のロケーションと、ウォーターフロントの良質なビジネス環境から、先端技術開発企業の本社や研究施設をはじめ、データセンター等が集積している。大阪府咲洲庁舎や大阪市の部局も立地し、行政上の重要拠点にもなっている。当地区では新エネルギーやライフサイエンス関連の産業集積が進められており、製品評価技術基盤機構(NITE)の世界最大級の大型蓄電池システム試験評価施設(NLAB)が開設される等、今後の開発の進行に期待が集まる。

 

[図表9]咲洲コスモスクエア地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照
[図表9]咲洲コスモスクエア地区の主要企業と主要ビル※円グラフの凡例は図表1を参照

 

新規ビジネスを支援する行政サポート

大阪では、環境・エネルギーや健康・医療、IoT・ロボットテクノロジーなど、大阪が特に高いポテンシャルを有し、将来の市場拡大が期待される産業を中心に、関連する企業が世界に向けて新しい製品・イノベーションを発信できるように、国内外の企業の集積や研究開発を促進し、新たなビジネスを生み出すためのサポートを充実させている。

 

■大阪市の企業進出サポート

企業の進出形態に応じた様々な優遇制度を用意しています。

 

(1)助成制度・税制優遇

企業の進出形態に応じた様々な優遇制度を用意しています。

 

[主な助成制度・税制優遇]

 

① 大阪市イノベーション拠点立地促進助成制度 助成金 最大3億円

イノベーション創出環境の整備を図るため、オープンイノベーションの推進や、ベンチャー企業等の活動支援に取り組むために設備投資等を行う事業者に対して助成金を交付する。

 

対象・助成額

1.オープンイノベーションによる新しい製品やサービス等の企画・開発に向けて、多様な企業等と交流を行う拠点

助成限度額
助成限度額

 

2.ベンチャー企業等の事業化に向けたサポート、コミュニティ形成や、事業プロジェクト創出のためのイベント等を行う拠点

助成限度額
助成限度額
 
 助成対象経費/助成率/助成対象面積 ※(1)(2)共通

助成対象経費/助成率/助成対象面積 ※(1)(2)共通
 

申込み期間

2017年7月12日から2020年3月31日まで(予定)

 

② 市内特定エリアで利用可能な税制優遇制度 地方税最大0円

大阪市内の特定地域において、新エネルギー・ライフサイエンスに関する先進的な事業、およびこの両分野を支援する事業を行う場合、大阪市・大阪府に納める地方税を5年間ゼロ、続く5年間を1/2まで軽減する。

 

③ 国の支援制度

国との協議により特区事業として認められた場合、国から規制緩和や制度の特例措置のほかに、税制・金融・財政上の支援措置などが受けられる。

 

※そのほかにも、大阪市内全域で利用可能な大阪府の補助制度・税制支援がある。

※交付にあたっての審査や条件があるので、詳しくは大阪市またはINVEST OSAKAのホームページ等を確認

 

無料レンタルスペース

市内に拠点進出を検討中の企業、団体を対象に、大阪進出準備のための拠点として、最大6ヶ月間無料で利用できるオフィスを提供している。

 

充実したサポート内容

事業用物件紹介、人材確保への協力、進出に関する情報提供や相談受付等をはじめ、様々なサービスを提供しています。大阪市の企業誘致業務を受託し、長年実績があるIBPC大阪企業誘致プロジェクトのスタッフが、ニーズに合わせた進出サポートを行う。

 

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CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメント(FM)などの18の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、半世紀近くに亘り、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。

企業にとって必要不可欠な「ビジネスインフラ」として認められる不動産アドバイザリー&サービス企業を目指して、国内約1,100名を超えるプロフェッショナルが、最適かつ的確な不動産ソリューションを中立的な立場で提供いたします。
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CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクされ、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社です(2018年の売上ベース)。全世界で90,000人を超える従業員、約480カ所以上の拠点(系列会社および提携先は除く)を有し、投資家、オキュパイアーに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。

写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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※本連載は BZ空間誌 2018年冬季号 掲載記事掲載当時のものです。
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