貸主と借主は基本的に「対等な関係」
◆家賃の滞納が発生!テキサス州なら、約2カ月で強制退去
書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』の第1章でも触れていますが、日本では借主の権利保護が手厚く、家賃滞納トラブルなどが発生した場合、オーナーの負担がかなり大きくなっているようです。
一方、アメリカでは貸主と借主は基本的に対等だと考えられ、法律上、借主が手厚く保護される、といったことはありません。そのため、借主が賃料の滞納をした場合の法的な対応、手続きなども、州によって内容は異なりますが、基本的に非常に明確で簡単です。
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テキサス州の例でいうと、まず家賃の未払いが10日間程度続いたら、入居者に強制退去申請に踏み切る旨の通知書(Eviction Notice)を郵便書留で送ります。その3日後に強制退去の申請(Eviction Petition)を治安判事裁判所(Justice Court:アメリカでもっとも下位の裁判所)に申し立てます。
治安判事裁判所では、最短で約2週間後に裁判の日を設定します。未払いという事実は明らかなので、通常オーナー(管理会社)側の勝訴判決となります。そして、その日から7日以内に、入居者は退去するか、上級裁判所に控訴しなければなりません。控訴せず、かつ、7日が過ぎても立ち退かない場合は、WRIT(強制立ち退き)を、オーナーが裁判所に申し立てます。
そして、最短で2週間程度の期間を経て、管理会社に郡の保安官から連絡が来て、強制立ち退き日をスケジューリングします。普通の人であればその前に出て行きますが、最後まで粘ったとしても、強制立ち退き日には保安官に説得されて、追い出されます。なお、住居に私物が残っていたら、オーナー(管理会社)が片付けなければなりません。
以上のプロセスで、入居者が上級裁判所への控訴をしなければ、最初の滞納が始まった時点から、強制立ち退きまで、概ね二カ月程度です(控訴をしても入居者が勝つ可能性はほぼ0%なので、通常控訴されることはありません)。
つまり、運悪く滞納するテナントに当たってしまったとしても、滞納による被害は二カ月分程度で済むということです。日本と比べれば、オーナーのダメージがはるかに少ないことは間違いありません。
不動産購入前に「アメリカの銀行口座」の事前準備を
◆売買契約はアメリカの各州法に則って行われる
日本の投資家がアメリカ不動産を購入する場合、アメリカ現地の不動産会社から直接紹介を受けて購入することも可能です。その場合アメリカ暮らしが長く、英語が得意で、アメリカの商習慣に慣れているなら、直接現地の不動産会社に当たってエージェントになってもらい、物件を探してもらって購入することも、理論的には可能になると思います(書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』の第4章で説明したような物件選びの難しさがあるので、実際上は困難でしょうが)。
いずれにしても、売買代金の授受、家賃の振り込みなどはドルで行われますので、アメリカの銀行口座は、あらかじめ用意しておく必要があります。
業者選定にあたっては多くのアメリカ不動産販売の実績があり、信頼できる業者を選ぶべきなのは言うまでもありません。そして、その際に、売買契約の当事者となるのがどこなのかを確認しておく必要があります。例えば、オープンハウスが販売する物件の場合は、日本の投資家とアメリカ各地にあるオープンハウスのグループ会社とで契約を結んでいただく形になります。ここはよく勘違いされる点ですが、日本法人である株式会社オープンハウスとの契約ではありません。
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日本の投資家からすると、アメリカ不動産をアメリカ現地法人(オープンハウスグループ企業)から購入するというスキームになっているわけです。そのため、契約もアメリカの各州の州法に準拠して行われます。つまり、第4章で説明したプロセスに則って、買主が日本の投資家、売主がオープンハウスグループの現地法人ということになり、エスクローなどの手続きが必要となります。オープンハウスのスタッフが契約に関するサポートをさせていただきます。
アメリカではローンを組んで不動産を買う場合(購入不動産を担保として抵当権を設定して融資を受ける場合)は、書類へのサインを公証人に認証してもらう必要があります。日本なら、各公証人役場、またはアメリカ大使館の公証人の前でサインをして認証を受けます。
ブロドスキ・ザクリ
株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 エグゼクティブコンサルタント