ADHDやASDなどの発達障がいの子どもたちは、世界中で様々な教育を施されています。その効果は千差万別であるため、子どもに合った最適な教育法を見つけることが大切です。本記事では、3歳児検診で自閉症の疑いがあると診断されたRくんの事例を紹介します。

3歳児検診まで「自閉症」とは疑ってもいなかったが…

幼いころから保育園に通っていたRくんは、3歳半で、筆者が運営する幼児教室「コペル」に来られました。

 

お母さんはおおらかな方で、Rくんは発語もあり、おとなしくいつもにこにこしているようなお子さんでしたので、3歳児検診で自閉症を疑われるまでは特に心配していなかったそうです。

 

それがそのように言われて調べてみると、

 

●ことばをおうむ返しで返す(エコラリア)。

●にこにこしているけど目線があまり合わない。

 

など、自閉症の特徴に当てはまることがある、と心配になっての入室でした。

 

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レッスンを開始すると、フラッシュカードが好きでじっとよく見てくれます。

 

教材を使った課題は、先生のモデルをよく観察し、同じように取り組むことができます。

 

「おなまえは?」の問いかけに「おなまえは」と同じことばを返してきますが、否定せず「○○Rです」とモデルを示すと「○○Rです」と同じように返すことができます。

 

そこで「じょうずに言えたね」とほめるだけで、「そうではないよ」と否定したり、言い直しをさせたりすることは決してしませんでした。

 

そのように楽しみながら半年が過ぎたころには、「おなまえは?」に正しく答えられるようになり、先生がふざけると声を出して笑うことが増えたり、「もういっかいしたい」と感情をことばで言えるようになったりと、ぐんぐん成長が見られました。

 

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年長さんになる頃には、はじめは読めなかった文字も書けるようになり、計算もできるようになりました。心から楽しんで課題に取り組んでくれた成果だと思います。

お母さんに「先生はぜったいおこらないですね。私も見習うようにしています」と言っていただいたことがあり、おこってもいいことないですよね、と笑いあいました。

 

それでも心配しながら受けられた就学時検診で、お医者様から言われたことばを涙を浮かべながら伝えてくださったときのことを思い出します。

 

「自閉症と言われたのは、その先生が間違っていたのではないですか」と、お医者様はおっしゃったそうです。

 

まじめに言われたことに取り組み、観察したことを正確に再現できる長所は、実は自閉症スペクトラムの特性とも考えられます。Rくんは自分の個性をよいほうへ伸ばして成長してくれたのだと思います。

 

お子さんの個性を否定することなく良いものとして伸ばしていくことの大切さを、Rくんに教えてもらったと感じています。

子どもの個性を活かした「ともだちとの関わり方」

子ども同士の関わりは、社会的に発達するためにとても大切です。

 

しかしお子さんによっては、大切なことはわかっているけどトラブルが心配だったり、傷つけられることが気になったり、お母さんの気持ちは複雑です。

 

お子さんのタイプによって、ともだちとの関わりを考えてみましょう。

 

1.社交的だけど状況や相手の気持ちを理解できない

 

自分から関わろうとする意欲は高いけれど、うまく関われずに”からまわり”してしまう、そんなお子さんは多くいます。

 

子どもは社会性を学んでいる時期ですから、実はどんな子も、少なからずそのような時期を通過するのですが、「遊ぼう」と声をかけているのに仲間に入れてもらえない・・・そんなわが子の姿を見るのは、涙が出るほどつらいこともありますね。

 

そんなときは、お母さんが、お子さんと相手の子の通訳になってみてください。

 

 

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「○○くんが好きだから一緒に遊びたいみたい」と相手の子に話しかけ、「いま遊びたくない」などの答えだったら「いま遊びたくないみたいよ。別のことしようか」とお子さんへ返します。

 

そこで、泣いたり怒ったりする感情が出ても「そうだね、かなしいね。でも仕方ないね」と、感情をことばで整理してあげながら、落ち着いてなぐさめてあげましょう。

 

子ども同士の摩擦は、社会的発達のために、必ず通過しなければならないことです。

 

いま望んだとおりにならなくても、その場面から学んでいけばいい、と考えましょう。

 

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2.嫌なことをされても「やめて」が言えない

 

おとなしくて、自分の感情をことばにできないお子さんに、つい「自分で言いなさい」と言ってしまうことはありませんか。

 

そのお子さんは、まだ、自分で言えないだけです。

 

まだ言えないから言わないのであって、ずっと言えないわけではないのです。

 

「自分で言いなさい」と強く要求してしまうと、「自分は言えないんだ」「言えない自分はだめなんだ」と無意識に思わせてしまい、それがセルフイメージになってしまいます。

 

お子さんが自分の感情をうまく言えないようだな、と思ったら「いやみたい」と、お母さんがかわりに相手に伝えてあげましょう。

 

そうすることで、こんな時はこう言うんだよ、というモデルを自然と示すことができます。

 

それではいつまでたっても自分で言えないのでは、と心配になるかもしれませんが、大丈夫。

 

お母さんが自然とサポートし、安心感を与えていれば、お母さんがいない場面で、勇気を出せる力がきっと育ちます。

 

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子ども同士の関わりでは、いま、うまくできないことがあって当然です。

 

子どもの特徴として、「それはそれ、これはこれ」という面があります。

 

大人は、摩擦が起こると、後々までしこりが残ったりしますが、子どもはそうではありません。

 

遊びに入れてくれなかった子が、5分後にはけろっとして「遊ぼう」と言ってきたりすることはよくあります。

 

あまり摩擦を恐れず、成長するチャンス!とおおらかに考えましょう。

 

 

株式会社コペル 有元 真紀

 

本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペルプラス」の記事を転載・再編集したものです。

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