ADHDやASDなどの発達障害の子どもたちは、世界中で様々な教育を施されています。その効果は千差万別であるため、子どもに合った最適な教育法を見つけることが大切です。本記事では、発達障害の子どもとの上手なコミュニケーション方法を見ていきます。

「長所」を生かせる方向性を探る視点を持つ

2005年に施行(2016年改訂)された発達障害者支援法において、発達障害は以下のように定義されています。

 

「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

 

つまり、発達の過程において、何らかの困難を抱えるようになり、健やかな発達が阻害されてしまう状態をさします。

 

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幼少期には、本人よりも、家族などの身近な存在が困難を感じるように思えますが、実は、子ども自身も非常にストレスがかかった状態であることが想像できます。そのストレスから逃れるために、発達が阻害されてしまうとも考えられるのではないでしょうか。

 

発達障害は病気ではなく、その特性は生涯にわたって継続するとされています。

 

しかし、子どもの育ちに関わるまわりの大人が、幼少期から、その特性を困難の原因としてではなく、その子の長所や得意な面として生かせる方向性を探る視点を持ち続けることが大切です。

発達障害の子どもとの上手なコミュニケーション

発達障害の子どもは、コミュニケーションに難しさを抱えるといわれています。障害特性として、相手の気持ちをうまく感じ取ることができなかったり、衝動性を抑えることができずトラブルになってしまったり。さまざまな理由で、子どもたちは傷ついたり悲しんだりしていることがあります。

 

カードやロールプレイとして理解しているように見えても、実際の場面は非常に複雑であり、何が適切な行動なのかわからなくなる。また、感覚の偏りによって感情を抑えられなくなる。頭では理解しているように思えるのに、生活のなかで応用することはなかなか難しいのです。

 

自発的な行動による成功体験を重ねること――“喜びを共有する体験の積み重ね”が大切です。そのために、実際の場面をロールプレイした行動とつなげてあげましょう。

 

「お友達とにっこり握手」など、合言葉のように適切な行動をわかりやすく伝え、適切な行動とは何なのか、具体的な生活場面の中でそっと声をかけてみるのです。他者とかかわるなかでの摩擦は成長のために必要ですが、過剰にならないよう、上手にサポートできるといいですね。

 

「お友達とにっこり握手」
「お友達とにっこり握手」

「障害特性」と「障害」はイコールではない

発達障害の子どもには、幼児期からその障害によって特性があるとされています。例えば、自閉症スペクトラムはこだわりが強い、などはよく知られるところです。

 

私たちは、児童発達支援を進めるなかで、障害特性はその障害とイコールではないと考えています。

 

障害特性とされる行動は障害があるから起こるというよりも、障害のためにうまく環境から学習することができず、結果としてその行動が見られるのです。

 

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幼児期は脳を育てる時期です。障害のため、環境からの学習が難しい子どもたちに、意図的に学習する機会をつくり、脳の発達を促すこと。結果として、発達段階のステップを踏めることを、もっとも大切なことだと考えています。

 

そのためには、無意識の意欲を引き出し、自発的な行動を起こすことが重要です。障害特性を“困った行動”としてではなく、その“子どもの個性”として発揮できる方向を探っているのです。

 

発達のなかで、障害による困りごとはまた別の形で起こるかもしれません。でも、それを自ら乗り越えようという力を持つことができたら、問題は少し違ってくるのではないでしょうか。幼児期に重要な自己肯定感を育てながら、子どもが自ら発達する力をできる限り後押しする、それが私たちのめざす療育のかたちです。

 

 

株式会社コペル 有元 真紀

 

本連載は、株式会社 コペルが運営するウェブサイト「コペルプラス」の記事を転載・再編集したものです。

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