ADHDやASDなどの発達障害の子どもたちは、世界中で様々な教育を施されています。その効果は千差万別であるため、子どもに合った最適な教育法を見つけることが大切です。本記事では、発達障害の「二次障害」として起きがちな反抗や問題行動への対応について見ていきます。

「わがまま」や「意地悪」だと誤解されてしまうことも

◆二次障害とは

 

障害特性、たとえば自閉症のこだわりやADHDの衝動性は、脳の機能障害によるものとして、認知されるようになってきました。その発達障害の特性から起こる行動を誤解された結果、自己肯定感が得られず、二次障害として反抗や問題行動が起こることがあります。

 

しかし、実際の生活においては、わがままや意地悪だと誤解されることが根強くあります。その結果、意図して悪いことをしたわけではないのに、叱られたり、友達との関りがうまくいかなくなったりと、子どもは辛い体験を重ねることになってしまいます。そのような状態になってしまうと、大人や友達の関心を引こうと、問題行動や反抗を繰り返すようになってしまうこともあります。それが、二次障害といわれる状態です。

 

対処を考えるとき、できるだけすぐに状況が変わる方法を探してしまいがちですが、そこに至るまでの子どもの心の状態を考えると、短絡的な対応には疑問が残ります。

 

「わがまま」や「意地悪」だと誤解されてしまうことも…
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◆望ましい対応の仕方

 

子どもが不適切な行動を繰り返すと、周りの大人はとても困ってしまい、状況を大きく変化させたいと考えがちです。

 

しかし、それが二次障害として起こっているとしたら、そこに至るまでの心の状態を考えると、一度に大幅な変化を望むことは、大きなストレスをかけることになってしまうことがあります。

 

基本となるのは、子どもが自律的に適切に行動する手助けをして待つことです。習慣化してしまった行動を変化させることは、大人にとっても非常に難しく、子どもがひとりで変わることは望めません。

 

ですから、適切な行動へつながるスモールステップを設定し、できたことを認め、できなくても否定せず、どうすれば自律的な行動へつながるのかを常に考えながら接します。そして、適切な行動がなかなかできない場面では、待つことを大切に、子どもが落ち着くことができるようサポートします。

 

そのような対応を根気よく続けることにより、その先に広がる豊かな将来への展望が見えてくるのではないでしょうか。

子どもが「自分で発達していく」のを信じて待つ

◆“こだわり”や“衝動性”へのサポート

 

発達障害の特性とされるもの、自閉症スペクトラムの“こだわり”やADHDの“衝動性”はよく知られるところです。障害特性による行動は、対処が非常に困難であることも多く、どうにかして修正できないかと、まわりの大人は試行錯誤を繰り返します。

 

ですがここで、子どもは時間とともに発達していくことを思い出しましょう。障害特性による困りごとは決して簡単なものではありませんが、先にあげた“こだわり”や“衝動性”は程度の差こそあれ、幼児期にはどの子にも見られるものです。

 

しかし、言葉の発達、心理的・社会的発達が進むと、多くの場合は落ち着いていきます。それは、発達障害の子どもであっても同様です。目の前にある困りごと、ずっと続いたらどうしようという気持ちは、愛情ゆえに起こるものだと思います。ですが、子どもを大きく変化させようと大人が考えすぎてしまうことは、往々にして強いストレスとなり、「今のままではいけないのだ」というメッセージを送ることになりかねません。

 

子どもが困りすぎないよう適切なサポートをし、発達段階において必要な刺激を与えながら、子どもが自分で発達していくのを信じて待つことも、障害特性をプラスに転じていくために重要な姿勢だと考えます。

 

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◆発達障害の子どもの成長

 

幼児期は、どんな子どもにとっても特別な時期です。

 

「三つ子の魂百まで」と言いますが、自分という人間のセルフイメージを築き、脳の配線のほとんどを形成するのは幼児期です。人生における幸福感を感じながら成長するためには、自己肯定感を確かに保持することが欠かせません。

 

自己肯定感は、何かが「できる」「できない」というところからくるのではなく、幼児期の日常で、どれだけ自分の行動を肯定されたか、により獲得されていきます。自分の行動を肯定的にとらえるセルフイメージを築ければ、多少うまくいかないことがあっても、次への意欲を持つことができます。そして脳の発達のためには、「やってみたい!」という内的動機づけによる学習行動が何より大切です。

 

幼児期の発達の意義は、目の前の成果だけを見るのでなく、子どもがどのようなセルフイメージを築きながら成長していくのかが重要です。「長い目で成長を見守る気持ち」を心に強く持っていただきたいと思います。

 

 

株式会社コペル 有元 真紀
 

本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペルプラス」の記事を転載・再編集したものです。

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