今回は、投資家本人の責任で投資物件を見極めるべき理由を見ていきます。※本連載はハウスリンクマネジメント株式会社代表・菅谷太一氏の著書『人口減少時代を勝ち抜く 最強の賃貸経営バイブル』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、不動産管理のスペシャリストによる「入居付け」の極意を紹介します。

投資家自身の目で「物件選定」することが重要

東京・神奈川を中心に不動産売買・管理を行っている筆者は、地方投資を勧めることはありませんが、投資相談に来られるサラリーマン投資家の方から、地方の物件を取得したものの運用損が発生していると相談を受けることがあります。特に入居率で苦しんでいる方は少なくありません。そこまで深刻でないケースもあれば、かなりの末期状態で銀行返済が遅れてしまっているケースまであり、人によって深刻度はまちまちです。

 

ご相談の原因について考えてみると、二つの原因があることに気づきました。

 

①業者任せ…不動産業者任せにし、自分で企画立案していない

②物件が良くない…融資が付くからといって高く買いすぎている

 

結局のところ、サラリーマン投資家が自ら投資を行っているにもかかわらず、あらゆる判断を他人任せにしてしまっているところが問題になっているのだと思います。

 

Sスキームでは「融資アレンジ付き」といわれる物件が多く、こうした物件はすでにS銀行による提携ローンが付いており、ある一定の基準を満たせば簡単に融資が受けられました。

 

ただし、簡単に借りられる代わりに「割高な物件、割高な融資条件」なのです。さらに、いくら融資が付くからといえ、噓で塗り固めた物件を購入しても儲かるわけがないのです。

 

 

同じように「融資付けに強い」といわれる不動産業者であっても、S銀行だけと懇意にしているのと、複数の金融機関と取引をしているのではまったく意味合いが変わります。その辺は不動産業界の裏事情ではありますが、投資家自らがしっかりとした投資基準を持って物件を選定していれば、ここまでの惨状にはならなかったのではと残念に思います。

物件の状況を理解し、価格が適正か考える

そもそも地方投資案件に関しては、東京と比較して人口、及び賃貸ニーズが減少します。そのため年間の入居率は当然ではありますが減少していきます。

 

たとえ15%の利回りがある一棟マンションであったとしても、大学生の賃貸需要しか見込めない狭小ワンルームであれば入居時期が限られます。簡単にいえば、学生ということで人の入れ替わりが激しいうえに、春の繁忙期を逃してしまえば人の動きが見込めません。さらにいえば、月日が経つごとに学生の人数が減っていくのです。

 

こうしたケースの場合では、たとえ空室が多くとも安定的に収入を得るため、より高い利回りで物件を取得することがポイントになります。

 

これが大規模修繕の終わっていない物件である場合、数年後に大きな出費がある前提を踏まえて、その分安く購入しなければいけませんし、不動産会社から「1年間家賃を保証するので物件を買ってください!」とセールスされたとしても、修繕費や入居コストは必ずかかってきます。ですから室内の修繕コスト、入居斡旋コストがかかる前提で収支を計算しなくてはいけません。

 

その他、駐車場がなければ入居者からの需要がない物件にもかかわらず、敷地内に入る台数しか駐車場がない場合は、敷地外駐車場を常時確保しなければなりません。

 

物件が豪雪地帯になると、10年に1度の大規模修繕工事を行いますが、屋上防水工事は数カ月も屋根に雪が積もっても、屋根からの水漏れがないように、下地処理がしっかりした豪雪地帯用の施工方法が求められます。

 

このように、しっかりと物件周りの状況まで理解したうえで、物件の価格が割高なのか、それともお得なのかを考えるべきなのです。

 

地方の投資物件を扱う不動産業者は、地方での表面利回りが高いことを利用して利益を上げています。しかし、賃貸需要のないエリアにおいて、家賃を保証して物件を販売するには、物件の価格を上げて販売することになりますので、購入した投資家の損失はかなり深いものになります。

 

購入を判断する基準には「家賃が適正であるのか」ということも重要です。

 

現在、入居者から入ってくる家賃が「現在の相場」と思いがちですが、特に賃貸需要が少ない地方に関しては、数年で家賃が5000〜1万円下がってしまうケースも珍しくありません。

 

そのため、家賃設定に問題がないのかを確認して物件を取得しましょう。地方投資において、現在の家賃相場がいくらであるのかを確認するには、駅前の賃貸仲介会社に家賃設定を聞く方法が的確だと思います。

 

賃貸仲介会社とは、主に入居募集を行う会社を指します。前提として、アパート・マンションなどの賃貸物件の管理を担当する管理会社があり、管理会社から賃貸仲介会社に入居募集依頼を出します。

 

話を戻すと、まずは物件を囲む状況を理解して、物件の価格が高いのか安いのかを考えます。

 

地方投資に限らず、1都3県でも同様の事態は起こり得ます。それが新築であっても中古であっても販売する側の業者の家賃設定で変わるので、業者任せではなく自主的に家賃を調査して独自に投資判断を行ってください。

 

 

また地方投資に限りませんが、物件を取得するにはその物件の「出口戦略」についても、検討した後に購入することが重要です。空室や修繕コストで苦しんでいる投資家のほとんどは購入すること自体が目的になっている場合があり、確保すべき経費を除いた実キャッシュフローを軽視する傾向にあります。

 

実キャッシュフローとは、お金の流れを示すもので、不動産投資では家賃収入から各種経費に借入金返済を加えたものを差し引いて計算します。さらに、税金を加味して計算した最終的に手元に残るお金=税引き後キャッシュフローです。

 

こうした守るべきセオリーを無視した結果、失敗をしてしまったサラリーマン投資家の売買事例について紹介していきます。

修繕費用で貯金が尽き、高金利の借入でさらに困窮…

 事例1  高利回り10%の地方物件投資でダマされたOさん

 

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Oさんは46歳のサラリーマン。年収は700万円ですが単身赴任ということもあり、出費がかさんで家計は赤字になっています。妻は専業主婦ですが、子どもが17歳と14歳で2人とも私立の有名高校と中学校に通っています。そこで年間200万円の学費を用意したいと思いセミナーに参加したところ、熱心に不動産の購入を勧められました。

 

「フルローンで購入できますから!」という言葉に押されてOさんが購入したのは、栃木県小山市にある学生向け中古RCマンション。1R55世帯、築27年で利回り10%、物件価格1億9800万円の物件でした。それと静岡県沼津市にある1K15世帯のRCマンションです。こちらは築30年で、利回りは小山市と同じく10%です。物件価格は7000万円でした。

 

Oさんが心配したのは、小山の物件が55世帯中空室15世帯、静岡の物件は15世帯中空室が7室あったことです。S銀行の融資期間は30年ですが、金利4.5%であるため収支が悪く経営は苦しくなる一方です。

 

本来ならば買うべき物件ではないのですが、1年間の家賃保証と、諸経費も含めたオーバーローンが組めるので、熱心に勧めてくる営業マンに押されて購入を決めました。

 

Oさんは物件を購入したのですが、後になって前オーナーが修繕工事をしていなかったことが判明します。毎月何かしらの修繕工事の請求が地元の管理会社から送られてくるのです。

 

また、複数あった空室についても、当初は「半年もすれば満室になるだろう」と踏んでいたのですが、空室のまま半年が経ち、そろそろ1年になろうとしています。Oさんは「家賃保証が切れる!」と焦りますが、空室はまったく埋まる気配がありません。

 

毎月の修繕費がかさみ、徐々に貯金が底をついたOさんは、借りていたS銀行にリスケジュールのお願いを申し出ました。

 

ところが担当者は親身に話を聞くどころか、年利7%のカードローンを200万円借り入れて当面をしのぐように提案をします。高い金利で借り入れすることにより、さらに困窮するのは目に見えていますが、リスケジュールのためにしかたなくカードローンの契約を結びました。

 

現在、Oさんは沼津の物件を任意売買で売却しました。その結果、1500万円の残債が残り、小山の物件に関しては競売にかかり1億円で落札待ちの状態です。Oさんは職場を辞め、個人事業主として仕事をしながら返済に怯える毎日を過ごしています。

 

 

菅谷 太一

ハウスリンクマネジメント株式会社 代表取締役 宅地建物取引士/液化石油ガス設備士/丙種ガス主任技術者

 

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