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統計局データから見る「ベトナム」のマクロ経済と不動産市場

前回は、ベトナムの不動産開発会社の「信用力」ランキングを紹介しました。今回は、統計局のデータをもとに、ベトナムのマクロ経済と不動産市場を見ていきます。

2017年のGDPは、政府予測を上回る6.81%の成長

不動産投資においても、その国のマクロ経済の発展は、不動産の資産価値に大きな影響を及ぼします。特にベトナムの場合、外国人(企業)の購入制限があるため、他国と比べて投資の際の重要な要素になります。

 

ここからは2017年度のベトナム統計局の集計を基に解説していきましょう。


2017年のベトナムのGDPは、政府予測6.7%(前年比)を上回る6.81%の成長を遂げています。特に17年第四半期は7.65%と、大幅な成長を達成しました。各分野で堅調な成長が見え、特に農業分野の回復や、外資流入額に加え内需、外需の増加が製造及び輸出を押し上げました。

 

6月に世界銀行が発表した「グローバル経済見通し」報告書の中でも、2018年ベトナムの国内総生産(GDP)の伸び率は前年比6.8%になるとの見通しを示しています。前回4月時点では伸び率6.5%になると発表しており、上方修正した格好です。世界銀行は今回の報告書で、ベトナムのGDPは2019年6.6%、2020年には6.5%と予測しており、安定した経済成長を見込んでいます。

 

FDI(海外直接投資)もベトナムの経済成⻑の原動力となっています。2017年の実行額は対前比9%伸び、約170億米ドルとなった一方で、登録額は前年比44%と大幅に伸び、約360億米ドルに達しました。製造業分野も引き続き好調を維持しましたが、発電を含むエネルギー関連で巨額のプロジェクトが予定されています。

 

不動産投資は約30億米ドルとなりました。計画投資省によると、今年の3月までに既に12億5,500万米ドル(約1,340億円)の投資が集まっています。

 

製造業部門も好調が続いています。工業生産指数(IIP)も前年同期比14.5%と急増しており、それに伴う2017年の輸出額は前年比21%伸び、27億米ドル(約3,050億円)の貿易黒字を記録しています。ベトナムに拠点を築いている海外企業の輸出品目が、基礎的な製品から付加価値の高い半導体含む電子製品に移行していることもあり、輸出全体の71%を占めています。

 

消費、インフレに関しては、2017年の実質小売売上高は前年比で9.5%伸びました。最低賃金が6.5%増えたことや、豚肉の価格下落で、生鮮食料品、加工食品や外食費の価格上昇が抑制されたことにより、政府は、医療費、教育費及び家庭電気料金を引き上げました。その全てを合わせても、年間インフレ率は2.6%と非常に低い水準にとどまっています。2018年には豚肉価格と原油価格の上昇から、インフレ圧力の高まりが予想されていますが、政府は年平均インフレ率目標を4%未満で設定しています。引き続き低いインフレ率に加え、賃金上昇も含め、2018年の消費動向を下支えすると思われます。

 

折しも現在、米中貿易摩擦の真っただ中です。世界的な流れではありますが、4月からの株式市場の低迷(外国人投資家の売り越し)が続いており、経済の好調が続く中ですが、先行きの不透明感も懸念材料の一つとしてあります。

2017年のホーチミン市の平均土地価格は15.16%上昇

ベトナムの不動産サイクルは5年と言われています。これは他国に比べると短いですが、その理由として、ベトナム政府を他国の政府と比較した場合、社会主義国特有の直接的な金融政策をとっているからだとされています。

 

実際、市場が開放されてからまだ期間が短いため、今後もこのサイクルが続くのか見極める必要はありますが、5年サイクルで過去を比較してみましょう。

 

ベトナムの住宅物件マーケットは諸外国と比べると透明性に欠けますが、ホーチミン市では、2006年から2008年にかけてアパート価格が急上昇した一方で、世界的な金融危機をきっかけに、2009年~2013年までの間、不動産価格の長期的な低迷に直面し、不動産担保ローンの支払いが滞ったため、金融業界に悪影響を及ぼしました。

 

その後政府は、2013年に14億ドルの不動産市場向け景気刺激策を実施し、不良債権を買い取る条件として、不動産開発業者にはより厳しい財務水準を求め、徐々に市場を安定させ、2014年以降の不動産取引の増加を後押ししました。また、不動産市場をさらに下支えするために、政府は外国人による住宅取得の条件を緩和し、改正住宅法を2015年7月1日に施行しました。2016年の第3四半期には、都市部のコンドミニアムは前年同期比で5%値上がりし、2017年ホーチミン市の平均土地価格(地価)は、1年間で約15.16%上昇。平米97,194,000ドン(約486,000円、坪147万円)になりました。

 

一方で、2018年の1月~5月までの統計では、住宅販売戸数が前年同時期比で大幅に減少したとのホーチミン市不動産協会の報告があり、新規住宅販売戸数は前年同期比44.5%減の9147戸で、この内コンドミニアムが8690戸となっています。これは、3月下旬に起こった高層マンション火災の影響を受けたことも大きな要因だとみています。

 

上昇を続けてきたベトナム不動産市場ですが、更なる景気上昇の期待も踏まえ、5年のサイクルを乗り越えられるか、2018年を見極める必要があるでしょう。

VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。
2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。
現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。
2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

 

 

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