開発会社の力量が「物件価値」を左右する
前回は、2018年上半期のベトナム側から見たホーチミンの最新の不動産市況を紹介しましたが、今回はベトナムで不動産購入時に重要となる、デベロッパーについて取り上げます。
不動産投資において販売先の開発会社は重要です。特にベトナムでは、開発会社の力量で有望な立地を取得したり、開発条件や開発規制が緩和されたり、引渡後の管理・運営・ブランド力によって入居者が左右されるため、投資する際の重要な目安となります。
少し古いデータですが、下記がベトナムでの不動産開発会社の信用力ランキングです。
1位 ビングループ(VIN GROUP)
2位 FLCグループ(FLC GROUP)
3位 ホアファット鉄鋼グループ(HOA PHAT GUOUP)
4位 ビグラセア総公社(VIGLACERA)
5位 ノバランドグループ(NOVALAND GUOUP)
6位 ハードーグループ(HA DO GUOUP)
7位 都市インフラ開発投資社
(URABAN INFRASTRUCTURE DEVELOPMENT INVESTMENT)
8位 ヒムラム(HIM LAM)
9位 ホアビン(HOA BINH)
10位 フーミーフン(PHU MY HUNG DEVELOPMENT)
※Vietnam Reportより(2016/03/26)
ベトナムで最も信用力が高いのは「ビングループ」
この中でも群を抜いているのが「ビングループ」です。長年ベトナムで№1に君臨しているビングループの概要を見ていきましょう。
VINGROUP概要
社名:VINGROUP JOINT STOCK COMPANY
設立:1993年
本社:ハノイ
会長:Mr. Pham Nhat Vuong
業種:不動産業・サービス業他
事業内容:
不動産開発、販売、経営、賃貸オフィス、住宅建設販売、機械・設備販売、ホテル・飲食経営、娯楽施設、農水産品販売、家電・医薬・化粧品・医療機器等販売・学校・小売関連・自動車製造販売 等
創業者:
創業者であるMr.Pham Nhat Vuongは、1968年ベトナム北部ハイフォンで生まれ、ハノイで育ち、大学在学中にロシアに留学。1992年にこの留学先の大学を卒業し、その後、現在の妻であるPhạm Thu Hươngと結婚し、ウクライナに移住。 1993年、ウクライナで食品会社を立上げ、主にインスタントラーメンの製造販売で財を築き、2009年にネスレに1億5,000万ドルで売却し、ベトナムに戻った。
ベトナムでの最初の不動産プロジェクトは、2003年に開設されたVinpearl Resort NhaTrangと、2004年に開設されたハノイのVincom City Towers(後にVincom Ba Trieuに改称)であり、 Vincomは2007年に上場、その後リゾート事業であるVinpearlと合併し、VinGroupを設立。
VinGroupは、ハノイ東部のLongBiên地区のリバーサイド地区に本社を構える。2015年は、Pham Nhat Vuong氏の資産総額は24.3兆ベトナムドン(約11億米ドル)となり、これは第2位のハノイホアファット社のトラン ディン ロング氏の4倍以上であった。彼の妻、Pham Thu Huongと姉妹のPham Thuy Hangは、それぞれ3位と5位にランクされている。
※Wikipediaより一部引用
フォーブス誌の世界長者番付によると、2017年、Pham Nhat Vuong氏の資産が48億ドルに達し、米国のトランプ大統領の資産31億ドルを抜きました。
Vin Groupの株価は昨年の下半期で50%上昇し、1株70,000ドンとなりました。Vuong氏が保有する株の時価総額は106兆ドン(47億ドル)となっています。また、ビングループ子会社のビンコム・リテール(VRE)が2017年11月6日に上場したことで、Vuong氏が持つVREの19億株の時価が一気に数十億ドル上昇しました。
ビンコム・リテールは、全国22省市41カ所にショッピングセンターを展開しています。さらに今年の5月17日、Vin Group子会社の住宅開発会社、Vinhomes(VHM)がホーチミン証券取引所(HSX)に上場しました。上場初日の株価は11万0500VND(約540円)でストップ高となりました。
VHMは年内に「ビンホームズ(Vinhomes)」8件、「ビンシティ(Vincity)」4件を合わせた住宅案件12件を発売し、成約額の合計は46億USD(約5000億円)となる見通しです。1-3月期には、北中部地方タインホア省の高級住宅案件「ビンホームズ・スター・シティ(Vinhomes Star City)」(敷地面積118.5ha)を発売しました。
2017年中に未計上の成約総額は35億USD(約3800億円)で、今年その92%を計上する予定です。その中で代表的な案件は以下の6件です。
ビンホームズ・セントラルパーク(Vinhomes Central Park)(ホーチミン市)
ビンホームズ・ゴールデンリバー(Vinhomes Golden River)(ホーチミン市)
ビンホームズ・グリーンベイ(Vinhomes Green Bay)(ハノイ市)
ビンホームズ・ザ・ハーモニー(Vinhomes The Harmony)(ハノイ市)
ビンホームズ・ドラゴンベイ(Vinhomes Dragon Bay)(東北部地方クアンニン省)
ビンホームズ・インペリア・ハイフォン(Vinhomes Imperia Hai Phong)(紅河デルタ地方ハイフォン市)
VinGroupによると、今年に入り海外からの資金調達としてシンガポール政府投資公社が子会社の不動産会社Vinhomesに出資と貸付合わせて13億USD(約1400億円)を投じるとのことで、提携契約調印式も行われました。
以上のように、今後VINGROUPは、国内の事業拡大とブランド力強化、海外からの資金調達を進め、ベトナムでは絶対的な地位を確保していくものと思われます。
ブランド企業としての品質とサービスをリードして行く中では、投資家にとってベトナムで最も安心した投資先として注目されることになるでしょう。