重要なのは「就職先候補」として想起してもらうこと
考えてもらいたいのは、他社との差別化を前提とした「ブランド連想」という発想です。採用活動もまた他社との競争です。優秀な人材を求めるほど、競争は激しくなります。特に、働き手が減少している昨今はなおさらでしょう。
そのような状況において、どうすれば自社に入社してもらえるのでしょうか。まず考えなければならないのは、就職先の選択肢の1つとして想起してもらうことです。それも、できるだけ強いイメージであることが求められます。
就職先候補として強いイメージをもってもらえれば、採用活動が有利に進められます。特にブランド論の基本である「強く」「好ましく」「ユニーク」なブランド連想を採用フローの中で醸成することによって、プライオリティが自然と高まることになるのです。
内定者フォローや教育を実施する場合においても、いかにブランド連想を高められるかを考慮してみてください。そして採用活動に関わるすべてのスタッフが、正しいブランド連想を生み出せるような行動を意識するべきです。
その中でも経営者は、リアルな言葉で語ることができます。どうやって会社を設立し、どのような過程を経て成長させてきたのか。それを社長が自ら語れば、内定候補者に豊かなブランド連想をつくることができます。
会社の成長の過程を迫力を持って語る──これは経営者にしかできません。それにより、頭ではなく心に訴えることが可能となります。心に響けば、それが強力なブランド連想へつながります。
他社との差別化の理解を促す「内定者フォロー」
ただし、現状では採用環境において、内定者フォローや教育を外すことができません。それらは採用フローの中にきちんと埋め込まれておくべき項目です。
どれだけ理念を伝えることができていたとしても、やはり、他社との競争はなくなりません。そのため、差別化は常に必要となるのです。
そして差別化ポイントをより深く理解してもらうために必要なのが、内定者フォローであり教育です。内定者フォローによって自社をさらに知ってもらい、教育を経て腹落ちしてもらう。この過程は必要不可欠です。
それを踏まえたうえで、なるべく自社の理念が形成されたプロセスを伝えてあげるように意識してください。他社と理念が同じということはありません。例えば同じ「顧客満足」という理念だったとしても、その企業ごとにニュアンスは異なるはずです。理念が形成されるまでのプロセスについてはなおさらです。よって、そのプロセスについてフォローや教育で浸透させれば、ブランド連想は一層盤石なものとなります。
どのように考え、どのように判断した結果、今の会社が形作られているのか──それを伝える丁寧なフォローと教育が求められているのです。