理念を意識した採用が「経営」にも好影響を与える
採用ブランディングはまた、企業経営において重要な「理念経営」への道筋をつくります。
これまで理念を中心に事業を展開してこなかった企業は、当然本来の意味でのブランディングもできていないでしょう。しかし、採用ブランディングをきっかけとして理念経営を実践すれば、ブランドの構築に至ることができます。
理念経営ができると、ビジョンの達成スピードが加速します。ビジョンの達成スピードが上がることによって、自然と成長速度も速まります。端的に言えば、企業経営全体の好循環をもたらすことになります。
ジェームズ・C・コリンズとジェリー・I・ポラスが書いた『ビジョナリー・カンパニー』(日経BP社)には、詳細な調査を基にした、企業の成長にとってのビジョンの必要性が細かく書かれています。より多くの利益を上げるために、人と物のサイクルを加速させていくということは、経営者にとって自然な発想です。より良い人材がたくさん採用できれば、よりたくさんの物やサービスを販売できるようになり、会社が成長していくからです。
もちろん、会社に好循環をもたらすということは、現場にもプラスの影響があります。会社の成長に伴い、人もまた成長し、仕事のレベルも高まることが期待できます。
このように、企業経営から実務のシーンまで、採用ブランディングが好影響をもたらす範囲は採用の現場のみならず多岐にわたります。
応募者のレベルが年々上がっていく図式に
会社の成長という視点で考えると、気になるのは採用ブランディングを実践した後の経過についてでしょう。
例えば新卒の場合、採用ブランディングを実践すれば1年目から結果が出ます。そして2年目、3年目と経過するにつれて、成果は飛躍的に伸びていきます。採用ブランディング本来の効果に加えて、採用担当者や採用に関わるメンバーが熟練するためです。
そうなると、今度は応募者のレベルが上がります。応募者のレベルが上がると採用競合のレベルも上がりますが、そのような状況に対処していくことによって、会社全体の採用レベルが高まっていくのです。
もし、採用ブランディングを実践していなければ、このような好循環は起きません。行き当たりばったりの施策に終始することになるため、つねに短期的な成果しか得られないのです。もちろん、担当者や応募者のレベルが上がることもありません。
その点、採用ブランディングをいち早く導入した企業だけが、短期的だけでなく中長期的にも、採用のレベルを高めることができるのです。