前回は、投資用不動産の購入における、ローンの「金利・返済方法」の基礎知識を説明しました。今回は、「金利」と「返済期間」に関する留意点を見ていきます。

金利の利率が1%違うだけで、返済額は大きく変わる

ローンの返済条件を決める際には金利と返済期間それぞれについて、十分な注意が必要になります。

 

まず、金利に関しては、利率が1%違うだけでもローンの返済額は大きく変わってきます。例えば、投資資金として銀行から1000万円を借りた場合、金利が1%であれば支払う利息の金額は100万円ですが、2%の場合には200万円になります。利率が1%増えるだけで、利息の額が100万円も増えるということです。

 

支払う利息を少しでも少なくしたいのであれば、できるだけ低い金利で融資に応じてくれる銀行を見つけることが重要になるでしょう。

 

低い金利で借り入れられるのがベストですが、投資家の年収や属性、物件の評価等によっては、1%ではなく2~3%台で借り入れないと投資自体ができないというケースもよくあります。しかし、金利差1%が大きい・・・と悲観的になるよりも、原点に立ち返って「目標」を確認し、金利はあくまでも「借り入れている間」に支払う利息(銀行の利益)のためのものと割り切ってください。

 

初期のプランニングの時点で、自己資金も活用して早期に繰り上げ返済していくイメージでいれば、当初の金利差につまずくことなく運用を開始できます。繰り上げ返済のスキームは後で詳しく説明しますが、とにかく「タイムイズマネー」です。いかに早く投資を始め、いかに早く完済できるかどうかがカギになります。

 

金利2%、期間30年で借り入れて30年間支払い続けるのと、金利3%、期間30年で借り入れて15年間で完済するのとどちらが良いか、目先の損得勘定ではなく、最終的にどちらが得かで判断できればもう一歩踏み込んだ投資ができます。

 

私の会社の複数物件を所有するお客様のなかには、借り入れ金利の高い物件から先に集中して繰り上げ返済している方も多くおり、参考になります。

返済期間が15年延びると、月々の返済額は倍に!?

一方、返済期間に関しては、短ければ短いほど返済の負担が重たくなります。例えば、1000万円のローンを1%の利率で組んだケースで、①15年間で返済する場合と②30年間で返済する場合の毎月の返済額を比較すると以下のような形になります。

 

①15年間で返済する場合 毎月の返済額は約6万3000円

②30年間で返済する場合 毎月の返済額は約3万6000円

 

このように返済期間が15年延びると、毎月の返済額が2倍近くも変わってきます。そして、仮に物件から得られる月の賃料が6万円だとすれば、②は賃料収入だけで十分にローンの返済が可能ですが、①ではそれが難しいことになります。

 

余裕をもってローンの返済を行うためには、借入金の返済期間をできるだけ長期に設定することが望ましいといえるでしょう。ただし、この場合も30年、35年ローンで当初借り入れたとしても、最短でリスクを最小限に抑えて運用を行うために、自己資金も活用し早期での完済を目指しましょう。理想は15年ですが、20年くらいで完済するイメージでスタートを切ってください。

 

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本連載は、2017年12月25日刊行の書籍『不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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吉村 拓

幻冬舎メディアコンサルティング

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