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ベトナムでのビジネスや不動産購入 注意すべきリスクとは?

前回は、ベトナム人の目線から「ホーチミン中心地周辺」の不動産事情を紹介しました。今回は、ベトナムでのビジネスや不動産購入にあたって、注意すべき「リスク」について見ていきます。

合弁会社の場合、事業開始前から合弁「解消」も視野に

2018年最初の「外国人によるベトナムでの不動産購入」についての記事ですが、最初に私事の報告から行います。この度、2012年よりベトナム合弁会社として活動してきたSHINY REAL社の合弁解消を決定し、現在、解消に向けての準備を行っています。新たに日系独資でVINA COMPASS社を立上げ、これまで通り不動産販売仲介、賃貸仲介、賃貸管理、進出コンサルを軸にスタートさせました。

 

合弁解消に至った理由は色々とありますが、最大の理由は「リスク」です。やはり外国人との合弁にはリスクがあります。いくらリスクヘッジを行ったところで、海外で、しかも現地の人と組んだ場合、完璧ではないのです。

 

ベトナムでは外資が事業を行う場合には、制度許可の関係上、外資だけでは事業制限が掛けられている場合も多く、どうしてもベトナム側と組まなければ事業許可を得られない場合もあり、その多くは止むを得ずベトナム側と組まなければならないという状況があります。こういった場合、株主構成や法的責任者などについてベトナム側が有利に組み立てやすい状況で設立される場合が多いのが実情です。

 

最初のうちは良いのですが、事業が軌道に乗ってくると資金の流用や使途不明金の発生など、金銭関係のトラブルが起こりやすくなり、更には経営面でもベトナム側が主導権を握るようになって、最終的にはパートナーである外国人を追い出し自分達で事業を行うという事が多く見受けられます。このような事態を招く原因は両者にあります。取る方も悪いが、取られた方も同じように悪いのです。

 

私は、ベトナム進出を考えている日本企業からの相談を受けていますが、その中で現地企業と「WIN WIN」の関係を持ちたいという意見をよく聞きます。しかし、日本企業が考えている「WIN WIN」と現地ベトナム側の「WIN WIN」の考え方は違います。

 

進出する側は、「WIN WIN」といっても半分以上の力を維持して進出しなければ、すぐに現地企業(ベトナム側)に主導権を取られてしまいます。日本人や日本企業がいないければ会社が成り立たないという位置付けを常に理解してもらう必要があり、その為にも大事なノウハウや、技術(資材)は日本側でしっかり守る事が、長く関係を継続する秘訣です。

 

もう一つの秘訣として、合弁会社を作る(資金を出す)前の段階で、会社の解散、閉鎖、売却を前提に考えた項目を契約書に折り込むことをお勧めします。「事業を始める前に、負の事を最初に決めるなんて」と難色を示される方もいますが、日本とは違い、信頼・信用だけの淡い気持ちでは通用しないのが海外です。

 

言いづらい事を初めに決めてからスタート出来ないようでは、現地企業との良いパートナーシップは築けません。上手くいった場合、上手くいかなかった場合の準備を行い、何があっても動揺せずに次のステージに進めるタフさが必要です。

制度や言葉が異なる外国では自身の知識を増やす必要も

ベトナムでの不動産購入に関するリスクについてもお話していきましょう。

 

先ずは、あまり知られていないベトナムの相続、贈与、譲渡の仕組みについてです。ベトナムでは二親等までの譲渡は非課税で扱われるため相続、贈与、譲渡の手続きを行う機会は多く、その手続きもそれほど複雑ではないので、必要書類が揃えば比較的簡単に譲渡を行うことが出来ます。これは不動産物件や資産(現金、金、株、車など)に適応されていて、外国人からの相続、贈与、譲渡も同じ扱いです。よって、外国人から合法的に資産を受取る事が簡単に行えるのです。

 

しかし、それを悪用するベトナム人がいたとしたら。そのベトナム人が長きに渡り信頼していた人だったらどうでしょうか。又は、信頼している通訳者と組んで、中身の分からないベトナム語の契約書にサインをさせるよう指示したならどうでしょうか。もっと言うなら、日々サインを行っている業務の契約書サインページだけを別のものにすり替える手口を使われたらどうでしょうか。過半数の人は何の疑いもなくサインをするでしょう、悪意を持ったベトナム人が外国人を騙すことは簡単な事なのです。このことを理解し、「私だけは大丈夫」などと思わない事が重要です。

 

このような事態が起こらないようにするには、自身でベトナム語の読み書きができ、中身をチェツク出来る知識を身につける事です。しかし、これをできる日本人は非常に少ないので、日頃から中身の分からない契約書や書類にはすぐにサインをしない事、必ず中身の確認を行ったうえでサインを行う事、こういった書類の確認を任せられる人を複数揃えておく事など、資産を奪われない為の対策を行っておく必要があります。

 

弁護士に依頼してリーガルチェックを行う事もできます。ベトナム語が堪能で、ベトナムの法律に詳しい日本人弁護士がいればベストです、しかし、いくら日本人弁護士が大手会社で信用されている人だとしても直接自身で対応する事が出来ないなら、ベトナム人を間に挟む事で常にリスクを抱えたままになるのです。

 

何においても投資は自己責任が原則ですので、ご自身で投資先であるベトナムやベトナム人の特性、ベトナムの法律を理解しながら、リスクヘッジを行う為に本当に信頼できる人や、専門業者に任せる事もベトナムで投資する上では最低限必要な事だと言えるでしょう。

VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。
2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。
現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。
2018年、SHINY社、合弁解消後。新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

 

 

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