銀行が着目する「決算書のポイント」を勘違いすると…
先般、新著「社長の決算書の見方・読み方・磨き方」を
発売させていただきました。
(出版:日本経営合理化協会)
おかげさまで、好調な出足と好評を得ております。
ありがとうございます。
新刊のタイトルには、
「見られていることを意識した決算書であってほしい」
との願いを込めております。
とにかく、無防備な決算書が多すぎるのです。
見られていることを意識していても、
どこを見られているかを勘違いしていると、
間違った対応をしてしまうことになります。
典型的なのが、
「何がなんでも赤字はいけない!」
と思い込んでいるパターンです。
銀行がみているから、
経営審査で見られるから、というのが理由です。
なので、営業利益、経常利益から、
税引前利益、純利益に至るまで、赤字にしてはいけない、
とおっしゃるわけです。
そのような社長が、実際には、まだまだおられるのです。
そもそも「税引前利益」「純利益」は評価の対象外
このブログの読者の方々はおわかりのように、
黒字にしておきたいのは、営業利益と経常利益です。
税引前利益と純利益は、銀行にせよ、経営審査にせよ、
評価の対象外なのです。
銀行格付け(スコアリング)のための経営指標の内訳にも、
経営審査のための指標の計算式を見ても、
税引前利益や純利益は、まったく登場しないのです。
つまり、すべての利益を見ているわけではないのです。
見られていないところを磨くことに努力しても、
努力の方向を間違っているのです。
大きな含み損のある土地を売却した!
高額の退職金を支給した!
などとなれば、税引前利益や純利益は赤字になることが多いです。
むしろ、それを狙っているわけです。
それでも、
「帝国データバンクの資料には、純利益が載りますよ!
それが大きくマイナスだと、点数が下がるんじゃないですか!」
とおっしゃる社長がおられます。
心配ありません。
そのような場合も、純利益マイナスの理由を、帝国なり、
調査会社の者に伝えておけば、評価点が下がることは、ないのです。
法人税が発生しないぶん、
キャッシュフローは潤沢になるのですから。
決算書には、数字をどのように見せるのか、
意図してコントロールできる要素があるのです。
それを知らずに、会計事務所の作るがままにしたり、
見られる部分の誤った解釈による対応に、
ならないでほしいのです。