今回は、銀行の担当者に「自社の格付け」を尋ねるメリットを見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

答える銀行もあれば、答えない銀行もあるが・・・

自社の格付け(スコアリング)ランクを銀行に聞きなさい!
と、書かせていただきました。
それを受けて、
「わが社の過去5年分のランクを、全部の取引銀行に聞いてみました!」
という、すごい会社がありました。
その内容をお聞きしていると、
改めて、銀行の実態が、見えてきたのです。

 

今は借入がないけれども口座はある、
という銀行も含めて、7つの銀行に順次質問したそうです。
「わが社の過去5年の格付けは、どうなっていますか?」と。
メガバンク2行、地方銀行5行、で7銀行です。

 

明確な格付け評価を、すぐに教えてくれたのは、2行でした。
メガバンク1行、規模の大きな地方銀行1行、です。
残り5行のうち1行は、
現状、スコアリング(格付け)の対象外になっていました。
借入もなく、明細内訳までは提出していなかったのです。

 

あとの4行は、それとなくランクは教えてくれるものの、
はっきりと教えてくれない、という状況でした。
「お答えすることはできませんが、中小企業としては上位です。」
といった感じの回答です。
全国的に、このような回答しか聞けなかった、
という会社が多いです。
なかには、はっきりと
「本店より提示してはいけないとの回答がありました。」
という銀行もありました。

企業の格付けランクは、オープンにしても問題ない情報

とはいうものの、その後、
「他の銀行さんの回答状況は、どんな感じでしょうか?」
とたずねてきて、
「よそはすぐに教えてくれましたよ。」と言うと、後日、
「うちも本店からOKが出まして・・・。」などと、教えてくれたりするのです。
格付けを聞く側の本音としては、
「あんたが止めてただけだろ!」と言いたいところですが、
「あ、そうなんですね。」と、素直にお聞きしたようです。

 

つまり、
すぐに対応して格付けランクを教えてくれる銀行員と、
他の銀行の様子をうかがってから対応する銀行員がいた、
ということです。
それだけでも、どちらの銀行員とつきあいたいか、
という判断材料になります。
要は、格付けのランクは、教えてはいけないものではない、
ということなのです。

 

「聞いても教えてもらえなかった。」のなら、
「他の銀行は教えてくれましたけど、
おたくが教えないのは、なぜなんですか?」
と、突っ込んでほしいのです。

 

で、各銀行員の対応内容をお聞きしていると、
他にもいろいろと、面白いことがわかってきたのです・・・。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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