今回は、前回に引き続き、中小企業が行う、銀行との金利交渉の実例を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

取引銀行それぞれと交渉した結果・・・

沢井商店(仮)は小売業を営んでいますが、
商売は厳しく、借入金は年商以上に上っています。

 

自己資本比率は10%程度、
貸借対照表の右側は借入金だらけです。
一方左側には、土地と建物です。

 

社外流出を抑えて、
少しでも会社にお金を残さなければ、
いつどうなってもおかしくありません。

 

取引銀行9行、それぞれと交渉して、
金利を下げてもらう必要があります。

 

「社長、いかがでしたか?
9行それぞれと交渉されましたよね?」

 

「はい、交渉しました。
M銀行は、2%だったものが、0.99%になりました。
N銀行は、1.5%だったのが、1.0%になりました。
T銀行は、1.3%だったものが、0.8%になりました。」

 

「まだまだ、私たちの顧問先の平均金利には、及びませんが、
そもそも御社は、自己資本比率が1桁、
借入金も年商以上ある会社です。
とりあえず、成果は出ましたね。」

 

「はい、ありがとうございます。」

「うちは、金利競争をするつもりはありません」

「ところで、メインバンクのJY銀行はいかがでしたか?」

 

「はい、それが・・・JY銀行だけは、やはり手ごわくて・・・・
支店長からこういわれました。

 

“当行は、御社のメインバンクですから、
他行の金利引き下げの状況を見させてもらって、
最終的に金利をいくらにするか、判断させてもらいます。

 

私は、メインバンクは、いの一番にわが社を支えてくれる、
そういう存在だと思っていました。
でも、他の銀行の出方を待って、決めさせてもらうと言うのです。」

 

「JY銀行は、融資残高からしても、その姿勢からしても、
もうメインバンクとは言えませんね~」

 

「やはり、そうなんでしょうか・・・おまけに、
“うちは、他行と違って金利競争をするつもりはありません。”
とはっきり言われてしまいました。
さすがにJY銀行は厳しいんじゃないですか?」

 

「あきらめたら下がるものも下がりません。
まだあきらめないでください。」

 

(次回に続く)

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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