今回は、「信用保証協会付きの融資」に警戒が必要な理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

保証協会への保証料として「融資額の1%前後」が必要

“信用保証協会って、やっぱり入らないとダメなんでしょうか?”
とおっしゃる経営者がいました。
“えっ?そんなことないですよ。ちょっと決算書みせてください。”
となり、貸借対照表を拝見しました。
驚きました。自己資本比率が40%を超えていたのです。
“この自己資本比率なら、保証協会なんていらないですよ!
 銀行はなんて言ってたんですか?”
と、お聞きしました。
“いやぁ…、いつもと同じ感じで、融資を受けるときに、
 「これまで通り、保証協会付きの融資でよろしいでしょうか?」
 と、言われて、そのままOKしてます。”
という返事でした。

 

要は、銀行のいいなりなのです。
しかし、このような感覚で保証協会をOKしている経営者が、
いまなお、おられるのです。
保証協会へは、保証料として、融資額の1%前後を払うことになります。
早い話、借入金利が2倍か、それ以上になってしまうのです。
そんなことを、安易に受け入れてはいけないのです。
が、かつて銀行から借りることに、
苦しんだ経験をお持ちの経営者にすれば、
“保証協会付きでも借りれたら、ありがたい。”
と、なってしまうのです。

信用保証協会は、地方公務員や銀行員の有力な天下り先

保証協会は、都道府県ごとに設置されています。
いわゆる、信用保証協会法に基づく、公益法人の類です。
返済が滞った際に、代わりに弁済してくれます。
銀行の担当者にすれば、不良債権の発生を阻止してくれる、
ありがたい制度なのです。
しかも、その保険料は、融資を受ける会社が払うのです。
願ったり叶ったり、なのです。
で、銀行の社内的には、
“保証協会付きなので、大丈夫です。”と、
リスク回避を大声で宣言できてしまうのです。
なので、格付け(スコアリング)などおかまいなしに、
彼ら銀行員は、保証協会付きの融資を進めてくるのです。

 

しかし、今や不良債権の発生率は極めて低くなりました。
保証協会の代位弁済も、年々減っています。
まさに、その役割りを終えようとしているのです。
ただ、信用保証協会は、地方公務員や銀行員の、
有力な天下り先のひとつとなっています。
まだそう簡単には、なくなりそうにないのです。

 

少なくとも、保証協会付きでお願いします、と
銀行が言って来たら、
“どうしてうちが保証協会付きでないとダメなの?”
と、問いただしてほしいのです。
今時、保証協会付きでなくてもOKです、という銀行は、
いくらでもあるのです。
借りるほうが、強い環境なのです。
銀行の言いなりにだけは、ならないでほしいのです。

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    本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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