今回は、金融庁が金融機関へ通知した「新たな原則」とその概要について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

企業から個人へと動いた銀行のねらい目

銀行は今や「手数料産業」である、
と言い続けています。

 

ここまで、振込手数料をはじめ、
いくつかの手数料に触れてきました。
他にも、最近よく耳にするのは、
“手数料の良い保険商品ばかりを売るな!”
“カードローンを乱発して、金利・手数料を取りすぎるな!”
ということです。
法人への融資で利ザヤを稼げない昨今、
銀行のねらい目は、個人へ動き始めていました。

 

特に、カードローンの場合、
銀行は貸金業法の対象外となるので、
年収の1/3までしか貸せない、という制限がありません。
なので、多重債務者にも、ばんばん貸していたのです。
カードローンには、審査も説明もほとんどありません。
すぐに借りれてしまうのです。
で、そこでも手数料を稼いでいました。
しかも高金利(最高18%程度)です。
それが、社会問題化し始めたのです。

「顧客本位の業務運営に関する原則」の中身とは?

そこで今年、金融庁から金融機関へ、新たな文章が通知されました。
「顧客本位の業務運営に関する原則」というものです。
(平成29年3月30日付け)
タイトルの通り、「顧客の利益を最優先せよ」というものです。
そこには、手数料や、商品販売のことにも、記載があります。

【原則4.手数料の明確化】
「金融事業者は、名目を問わず、
 顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を、
 どのようなサービスの対価に関するものか、情報提供すべきである」

 

【原則5.重要な情報のわかりやすい提供】
「金融事業者は、
 金融商品・サービスの販売や推奨に係る重要な情報を、
 顧客が理解できるようわかりやすく提供すべきである」

 

といったことが、記載されたものです。
金融庁がこのような文書を出しても、
金融機関のほとんどの担当者は、
気にせず今まで通りに発言・行動してきます。

 

何らかの手数料で交渉することがあれば、その説明を求め、
“3月に金融庁から手数料に関する原則が出てるでしょ。
 そこには、手数料の理由や内容を説明せよ、
 とありますが、ご存知ないんですか?”
くらい、言ってやったらいいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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