今回は、銀行の「シンジケートローン」の提案を受けてはいけない理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「複数の銀行が連携」して融資する仕組み

銀行は今や「手数料産業」である、
と言い続けています。

 

「シンジケートローンでの融資は、いかがでしょうか?」
と言われました、という経営者にお会いすることがあります。
要は、「受けていいんでしょうか?」ということを聞きたいのです。
回答は、「やめときなさい。」です。

 

銀行が何かを提案して、お手伝いしますよ、
ということには、もれなく高い手数料がついてきます。
シンジケートローンというのは、その銀行が中心になり、
いくつかの他銀行に声をかけて、
みんなで一緒に御社にお貸ししますよ、というものです。
複数の銀行が連携して、融資する仕組みです。
その手数料の内容は、次の通りです。

 

まず、複数銀行のとりまとめ役を、アレンジャーと言い、
「アレンジメント手数料」というものが発生します。
その手数料の内容は、次の通りです。

 

①どの銀行と連携するかの組織構築手数料、

②各銀行との交渉代理手数料、

➂契約条件のとりまとめ手数料、

④各銀行間や融資を受ける会社との契約書作成手数料、

⑤バンクミーティング手数料、

⑥調印式に関わる手数料、

 

などです。

各手数料の「とってつけた」内訳とは?

よくよく内容を見ると、
「そんなことくらい、ウチでやるよ」と言っていいくらいの内容です。
バンクミーティングなど、横文字で言いますが、
銀行の担当同士でやりとりするだけです。
それで手数料をとるなど、意味がわかりません。
この「アレンジメント手数料」は、
融資額の1%~5%、と、かなりの幅がありますが、
2%~3%が多いようです。
で、これは、
シンジケートローンが締結・開始するまでの手数料です。

 

開始すると、取りまとめ役の呼び名は、「エージェント」となります。
「アレンジャー」から「エージェント」へ、
戦隊もののごとく、進化するのです。
そして、今度は「エージェント手数料」を取りにかかります。
手数料の内容を見ると、

 

①金利・元金等、資金決済手数料

②各銀行への通知手数料

➂制限条項等の契約内容モニタリング手数料

 

など、言ってみれば、とってつけた内容です。
こちらは、基本前払いで、毎月や、1年単位で、要求してきます。
当然、ちょっとした契約内容変更や、早期返済に関しても、
「各銀行とのやりとりがありますから。」と、
新たな手数料を要求してきます。

 

シンジケート、アレンジャー、エージェントなど、
銀行は、意味不明の横文字で攻めてきます。
受ける側は、わかったようなわからないような感じになります。
で、うっかり了承してしまうと、手数料の山だった、
というわけです。
だから、シンジケートローンなど、受けてはいけないのです。

 

と、もうひとつ、銀行がシンジケートローンを提案するには、
手数料を稼ぎたいだけでなく、別の理由もあります。
その理由については、次回に書かせていただきます。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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