今回は、銀行に対する「お願い」と「交渉」の違いについて見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「できるだけ○○してください…」では、単なるお願い

銀行を取り巻く環境は変わり、
銀行優位の時代は遠き過去のこととなりました。
しかしながら、あの頃と同じ感覚で銀行交渉をし、
大きな勘違いをされている経営者に、
今も出会うことがあるのです。

 

“ウチは銀行交渉をしっかりやっていますよ。”
といったことを、経営者からお聞きする機会があります。
さらには、
“前期はA銀行から1億、
 メガバンクのB銀行からも1億、借りました。
 今期も、A銀行からは、短期の継続融資が決まっています。”
などと続いたりします。

 

で、“それぞれの借入条件は、どのように交渉されていますか?”
とお聞きします。すると、
“金利はできるだけ低く、個人保証と担保は、
 できれば外してください、と言ってます。”
このような返答をいただくことも多いのです。
“言われるがままに借りているのではないですよ。”
というわけです。

 

“実際に、それぞれの条件はどうなってますか?”
と言って見せていただくと、
金利は高い、個人保証・担保はついている、
ということが、往々にしてあります。
できるだけ低くしてください、
できれば外してください、
というのは、単なるお願いであり、交渉ではありません。

「仕入れ交渉」と「銀行交渉」は同じ⁉

金利であれば、
他社事例や、タイボ+スプレッドなどの知識を、武器にする。
担保・個人情報であれば、これも他社事例や、
金融庁の方針やマニュアルで定められていることなどを、
武器に条件が良くなるように仕向けてゆく。
これが銀行交渉です。

 

そのような交渉ができず、借りれるかどうか、
が交渉になってしまっている、というケースがあるのです。
結局、“借りないといけない!”ということが頭にありますから、
ハードな交渉はできず、できれば、などと、
控えめにお願いすることになってしまうのです。
これは、交渉を挑む相手に、
わたしは丸腰です、と言っているようなものです。

 

数日後、銀行員はこう言います。
“できるだけ下げました。”
“個人保証と担保は、本部からのOKが出ませんでした。”
で、その銀行員にとって、いい条件を提示します。
仕入なら、
どこよりも良い条件で仕入れることが、
仕入交渉の成果です。
銀行交渉も、仕入れ交渉と同じなのです。

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    本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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