前回は、地域密着型の施設を目指し、「地域力」を高めた介護施設の対応事例を紹介しました。今回は、地域の高齢者を助ける、「地域包括支援センター」の役割を見ていきます。

地域の高齢者の介護の悩み、生活の困りごとを受けつけ

地域包括支援センターでは、その地域に住む高齢者の介護の悩みや生活の困りごとを受けつけ、さまざまなサポートを行います。

 

高齢者が安心して暮らす権利を守るため、介護、福祉、医療や高齢者の金銭管理のための成年後見制度の相談に応じます。また、要支援認定を受けた人や、いずれ介護が必要になる可能性のある人の予防支援や虐待予防、さらに地域のネットワークを整備するために、ケアマネジャーへの個別指導や相談なども行います。つまり、地域包括ケアシステムの核となり、介護、医療、地域の橋渡しをしながら高齢者の住まいと暮らしをサポートするのです。

 

[図表]地域包括ケアシステムの流れ

 

なかでも要支援認定を受けた高齢者の介護予防のためのケアプラン作成、引きこもり防止、介護プログラムへの参加支援などといった介護予防ケアマネジメントの仕事が主になります。

 

社会福祉士、保健師、ケアマネジャーが所属しており、多職種がそれぞれの立場から解決策を導き出し、相談者にとってのベストな方法を紹介します。

 

地域包括支援センターで活躍する職種

 

●社会福祉士【専門分野】 介護や生活支援、消費者被害

 権利擁護/総合相談業務を行う

 

●保健師【専門分野】 健康、医療、介護予防

 介護予防ケアマネジメントを行う

 

●ケアマネジャー【専門分野】 介護全般

 包括的・継続的なケアマネジメント支援業務を行う

「ワンストップ」で対応可能なため、利用者は安心

ちなみに、居宅介護支援事業では、要介護認定を受けている利用者のケアプランを作成するのに対し、地域包括支援センターは地域の高齢者すべての相談に応じる事業所になります。

 

通常は市区町村が窓口になるのですが、社会福祉法人が委託を受けて運営を行うこともあります。

 

地域の高齢者は、何かあったらこの地域包括支援センターに相談すればワンストップで対応してもらえるわけです。多職種が専門的な知識を持ちよるため、的確なアドバイスを提供することができます。

 

地域の相談所という役割をになうため、職員には、専門的な知識はもちろん、相談者の悩みに誠心誠意応えるという責任感が求められます。特に地域包括支援センターは、市区町村の看板を背負っていることにもなります。積極的に情報を発信し、地域とかかわってセンターの認知度を向上させ、信頼度を高める努力が必要です。

本連載は、2017年8月26日刊行の書籍『利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル』から抜粋したものです。

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

山田 俊郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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