前回は、収益物件による資産形成は新築よりも「中古」が有利な理由を解説しました。今回は、投資物件のメリット・デメリットを構造別に見ていきます。

物件価格を低く抑え、小規模投資が可能な「木造」

一棟もののアパート・マンションの構造には、大きく分けて3種類あります。木造、鉄骨造、RC造(鉄筋コンクリート)です。

 

木造は一般的に「アパート」といわれるもので、2階建て、高くても3階建てまでの小規模なものになります。メリットとしては、まず建築費が安く規模も小さいため、物件の価格(絶対額)が低く抑えられ小規模な投資を好む人でも取り組めること。そして固定資産税や修繕費などの維持費や解体費が、RC造や鉄骨造の物件と比較して少額になることです。解体費が安いため、最終的にはアパートを壊して更地にして売却するという選択肢もあります。

 

 

デメリットは、税務上の耐用年数が短いため、金融機関からの借入期間が短く設定されてしまう場合があることです。借入期間が短くなれば、当然、月々の返済額が多くなってキャッシュフローが悪くなるので、収益物件活用としては不利になります。ただし、最近は金融機関側の姿勢にも変化が見られ、耐用年数が過ぎている物件に対しても20年超の長期融資を行っているところも多くなってきたため、このデメリットもあまり感じることはないでしょう。

 

その一方で、税務上の耐用年数が短いということは、償却期間が短く(木造であれば最短4年間)、年間の減価償却費を多く取れるため、節税としてのメリットが大きくなります。

税務上の耐用年数が長く、長期借入がしやすい「RC造」

RC造は、一般的に「マンション」といわれるものです。メリットは、堅固な建物のため高層で造られているものも多く、1棟で規模の大きい投資を行えることや、税務上の耐用年数が長く長期借入がしやすいことが挙げられます。

 

デメリットとしては、物件価格そのものが高いことに加え、建物の維持管理費や固定資産税、解体費が高額になること、耐用年数が長く減価償却費を多く取れないことなどがあります。

 

鉄骨造は木造とRC造の中間と考えていただければいいでしょう。

 

 

[図表]収益物件の耐用年数

参考・解体費用

木造坪当たり5万~7万円

RC造坪当たり10万~15万円※エリアや時期によって異なる

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

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大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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