前回は、収益物件を購入する場合、「新築」と「中古」のどちらが有利であるのかを考察しました。今回は、収益物件を活用した資産形成において、新築よりも「中古」が有利な理由を見ていきます。

物件価格が下落する可能性が高い「新築物件」

しかし、新築物件は、利回りが低いうえに減価償却の節税効果も低いので、純収入が少なくなり、投資回収のスピードが遅くなります。

 

そして①新築プレミアム後の賃料の下落、②キャップレートの上昇という二つの要因により、数年内に大きく物件価格が下落してしまう可能性が高いのです。

 

 

そのため、一般的には、新築物件は資産形成目的の投資対象としては、向いていないと結論できます。もちろん特殊な事情で割安に新築物件を手に入れることができる場合はこの限りではありません。

高い利回りや節税なども期待できる「中古物件」

①利回りが高い

 

日本では中古の建物価格を低く見る傾向があるため、中古物件は購入価格が安く利回りが高くなるというメリットがあります。利回りが高いということは、新築に比べて純収入を得やすくなるのです。純収入が多く得られれば投資回収が速く進み原価が下がるため利益を得やすくなります。

 

②価格が下がりにくい

 

まず中古物件は新築物件と違って賃料の下落幅が小さいといえます。新築プレミアム賃料がないからです。また、築年数に応じてキャップレートは上昇しますが、新築が中古になるときと比較すればその上昇幅は極めて小さいといえます。

 

賃料が下落せずキャップレートが上昇しないということは、収益還元法によって物件価格が下がらないことを意味します。

 

また、新築の物件とは逆に、物件価格のうちに占める建物価格の割合が小さくなり、土地値の割合が高くなります。土地は減価しないため、売却時にも大幅に値下がりする心配がありません。

 

 

さらに、減価償却期間が新築に比べて短いため、減価償却費を短期間に多く計上でき、節税面でも大きな効果が得られます。つまり、手元に残る純収入が新築よりも圧倒的に多くなるのです。オーナーチェンジで購入した場合は、すぐに賃料が得られるのも大きなメリットです。

 

中古物件のデメリットとしては、設備の交換・修理や建物の修繕などのメンテナンス費用がかかり、収益が読みにくいという点が挙げられます。

 

[図表]

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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