賃料収入は「売上」、純収入は「粗利益」
不動産賃貸事業においては、賃料収入は売上、純収入は粗利益と考えられます。いくら賃料収入が多くても、経費が多くかかって純収入が残らなければ意味がありません。また、減価償却費で税引後の利益(手取り収入)をコントロールできなければ、税金で持っていかれて結局手元にお金が残らないことになります。
では、具体的に木造とRC造の比較を見ていきたいと思います。下記図表をご覧ください。
[図表]木造はRC造に比べて実質利回りが高い
同じ賃料収入が1000万円の物件を比べます。まず経費がRC造の場合は300万円、木造の場合は200万円で純収入が700万円と800万円と違います。これはRC造の場合にはエレベータの保守費など、木造に比べてランニングで発生するコストが多くかかるのと、建物が堅固なので固定資産税が高いためです。そのためRC物件は木造に比べて実質収入が少なくなります。
逆に言えば木造はRCに比べて実質利回りが高いことがわかります。
収益物件活用はあくまでも「事業」
投資家(お客様)と話していると、RC造=価値のある物件という先入観を持っている人が多いように感じます。耐用年数の長いRC造の物件のほうが長期間の融資を引きやすいという、金融機関の融資姿勢の影響もあるのでしょう。また、物件が長持ちすることや、見栄えがいいことに価値を感じる人もいるはずです。最近はRCが一種のブームで、相場が異常に高騰していることもあり、注意しなければなりません。「木造アパートなんて恥ずかしい」と言う人もいます。
しかし、収益物件活用はあくまでも事業です。事業である以上、物件を所有する満足感やこだわりよりも、利益の最大化を目指さなければなりません。投資効率と減価償却による節税を用いた利益の最大化という点から考えると、木造や軽量鉄骨造の物件のほうが、RC造の物件に比べて投資物件としては優れているといえます。
なぜなら、書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』Q5で詳述する通り減価償却の金額が大きく違うからです。木造物件の場合は短期間で償却できるため、会計上の赤字が計上でき、税引後キャッシュフローのプラスが大きくなります。一方、RC造は償却がとれないため税負担が重くなり、税引後キャッシュフローは小さくなってしまいます。