新築に比べて高利回りな「中古物件」
Q:新築と中古、資産形成に向いているのはどっち?
土地から新築するアパートをすすめられています。「新築アパートは高い家賃が取れる」という点をアピールされましたが、中古は物件価格が安いので、どちらが本当に利益を得られるのか悩んでいます。新築と中古のメリット・デメリットを教えてください。
A:利益を得るなら中古 カッコ良さ(自己満足)なら新築
◎新築のメリット
・自分の好きなようなデザインで造れる
・最新の設備、間取が造れる
・新築は人気があり、新築プレミアム価格(賃料)で客付けができる
・長期間の融資を受けやすい
・メンテナンスのコストは当面かからない
◎新築のデメリット
・取得時の利回りが低い
・完成までの時間がかかる
・減価償却期間が長いため節税効果を得にくい
・新築後数年での極端な賃料下落(価格下落)
◎中古物件のメリット
・新築に比べて高利回り
・オーナーチェンジの場合、購入後すぐ賃料が得られる
・現在の状況から運営状況を読みやすい
・減価償却期間が短く、効率的に節税ができる
◎中古物件のデメリット
・建物の修繕や設備の修理・交換などのコストがかかる
投資回収スピードが遅く、価格が下がりやすい「新築」
新築と中古のどちらがよいかは、何を求めて物件を取得するかの一言に尽きます。満足度という考えであれば新築物件を取得するのもありですが、利益や資産形成という観点から考えれば、中古物件しかあり得ません。
ではまず、新築物件について説明していきます。
①低利回り
一般的に、新築物件では高利回りは期待できません。利回りが低いということは、先述の通り、純収入が少なくなるので投資回収スピードが遅くなります。そのため利益を出すことがまず難しくなります。
新築時の家賃は「新築プレミアム」といって相場より1割から2割ほど高く設定できますが、それ以上に物件価格が割高だからです。建物の建築費に建築業者の利益が上乗せされ、さらにその物件を不動産会社が販売するとなれば、不動産会社の利益も上乗せされています。
また新築の場合は、諸経費は中古よりも抑えられますが、減価償却期間が長いため、年間の償却費がわずかしか取れず、節税効果も期待できません。
②価格下落
新築プレミアムが通用するのは初回の入居時だけです。築後数年がたって入居者が入れ替われば、賃料は相場並みに下がっていきます。賃料が1~2割も下落すれば、収益還元法で考えた場合、同じ利回りであったとしても物件価格が1~2割下落するということになります。
現実的には、この賃料の下落に加えて、中古になった途端に期待利回り(キャップレート)も上昇します。
つまり、新築物件であれば利回り6%でも買い手はつきますが、築10年の中古になると利回り7~8%はないと売れないということです。それがキャップレートの上昇です。この賃料の下落とキャップレートの上昇によって新築物件は物件価格自体が大幅に下がります。
さらに言えば、新築物件は価格全体における建物の割合が大きく、土地の占める割合が小さいという問題があります。そのため、価格下落の幅も大きいのです。
[図表]新築物件は価格が急落しやすい
先述の通り、収益物件活用の利益を最大化させるためには、「純収入が多い」ことと「物件価格が下がらない」という2点が重要になります。