前回は、適切な経営判断を下すために、経営者が見るべき会社の数字を取り上げました。今回は、会社の資金繰りに困らない「利益管理」のポイントを見ていきます。
借入金や税額を考慮して「営業利益」をチェック
営業利益の数字をチェックする際には、借入金や税金の額を考慮しておくことも求められるでしょう。
営業利益があってもそれらの返済や支払いが発生する結果、手元に残る現預金がゼロやマイナスになることもあり得るからです。
例えば、営業利益を100万円計上できたとしても、銀行等からの借入金に対して100万円を返済しなければならないとすれば、会社にはまったくお金が残らないことになります。にもかかわらず、「今月は○○○万円の営業利益があるから、新しい車を買おう」などと無計画に出費をしてしまったら、たちまち資金繰りに窮することになりかねません。
売上の目標値は、最低限必要な営業利益から「逆算」
こうした状況を事前に回避するための方策として、借入金に対する月々の返済額や納める税金の額を含めた形で「どれだけの営業利益を確保するべきか」という目標利益を設定することをお勧めします。
この目標利益を適正に設定することにより、さらに売上の目標値も「最低限の営業利益を確保するためにはどれだけの売上を上げなければならないのか」というように逆算した形で正しく導き出すことが可能となるはずです。
社長の時間をつくる株式会社 代表取締役
公認会計士
経営コンサルタント
1974年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学経済学部を卒業後、監査法人トーマツを経て、2001年に神宮前会計、2013年に神宮前アカウンティングファーム、2014年に社長の時間をつくる株式会社を設立して代表取締役に就任。公認会計士・経営コンサルタントとして培ったマクロの視点と、自らが経営する不動産会社・飲食店の社長業で得たミクロの視点で、数多くの企業をサポートしている。
著者プロフィール詳細
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連載企業の成長を助ける「効率的な会計インフラ」構築術
社長の時間をつくる株式会社 代表取締役
公認会計士
税理士
1976年生まれ。千葉県出身。慶應義塾大学経済学部卒。在学中に会計士試験に合格後、監査法人トーマツへ入所。2003年から2005年にはDeloitte NY事務所に出向。2007年、シティグループ証券投資銀行本部に転職し、国内外のM&AやIPO・株式増資案件を手掛ける。2014年、社長の時間をつくる株式会社を設立して代表取締役に就任。孤独で忙しい社長を幸せにすべく、新しい仕組みの構築・運営に奮闘中。
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