銀行員にはそもそも「事業性を評価する力量」がない!?
銀行融資の審査が、格付け評価から「事業性評価」に変わる、
と勘違いされている情報発信を、見受けます。
あらゆる融資に「事業性評価」が主体になるなど、
そんなことは、ムリな話しなのです。
具体的には、事業性評価シート、というものを使います。
そのフォーマットは、銀行ごとに異なります。
が、概ね、いわゆる、SWOT分析や、環境分析、です。
銀行の担当者が、経営者からのヒアリングをもとに、
評価シートを作成し、本部で審査を受ける、という流れです。
そのような分析資料の作成を、中小企業にきている
銀行の担当者に、できると思いますか?
今や、財務分析さえデータ入力まかせで、
読める銀行員が不足しています。
で、営業に駆けずり回る日々を過ごしています。
事業性を評価する力量が、銀行員にはそもそもないのです。
銀行員もサラリーマンです。
何が何でもやらなきゃならないとなれば、対策を考えます。
おそらく、いくつかサンプルができてきたら、
「この会社の事業性評価は、A社のものを加工しよう。」
とか、パターンを流用することを、思いつくはずです。
要は、形式を整えることを重視してゆく傾向に走るでしょう。
なぜなら、力量もなければ、時間もないからです。
働き方改革を叫ばれている中、
個々人が真剣に事業性評価に時間を費やすなど、
時代錯誤なのです。
しかし、そんなパターン化された評価では、
適正な評価にならないことは、目に見えています。
企業はいままでどおり「財務諸表」を磨くべき
銀行は、貸してなんぼの商売です。
事業性評価に時間をかけて、その結果、
「融資することはできません。」という
結論をだしたくないのです。
そんなことをすれば、
“貸せない会社に時間をかけるくらいなら、他を回れ!”
と言われてしまいます。
人事考課のマイナス要素になります。
銀行員は、人事がすべてです。
なので、むりくり、融資できる、という方向性を模索します。
結局、融資ありきの形式文書になってしまいます。
なので、「事業性評価」が一律で主体になることは、
実態として、ありえないのです。
ただし、リスケなど、過去の履歴のためだけで、
融資の道を閉ざされている、という会社には、
有効な手段と言えます。
そうでない会社は、「事業性評価」など気にせず、
いままでどおり、
財務諸表を磨くことに、力を注げばよいのです。