「手法」と「勝ちパターン」はまったくの別物
まゆ子さんは、野球に興味がありますか?
まゆ子 今はもうほとんど観ませんが、父が広島カープのファンで、実家にいる時は付き合わされていました(笑)。
まゆ子さん、広島出身だったのですね。
広島―阪神戦も観たことがあるはずですね。
かつて、阪神がらみで「JFK」という言葉が流行ったことがありました。ウィリアムス (Jeff Williams)・藤川 (Fujikawa)・久保田 (Kubota) の頭文字をつなげて、「JFK」といったのですね。3人が継投した試合で、阪神は17連勝しました。
阪神がリーグ優勝した2005年のデータによると、JFKの3人がそろって登板した試合の勝率は8割を越えていたそうです。
JFKの3人を登板させる。これだけでは手法です。しかし勝ち試合になる展開でJFKの3人を登板させるのが、阪神の「勝ちパターン」だったわけです。
「勝ちパターン」には、外的要因と内的要因があるといいました。内的要因、つまり自分の側の行動としては、この場合、JFKの3人を登板させるということなのですが、それ以外に外的要因、つまり環境が必要です。
その環境とは、「JFKが登板できる試合展開」です。
3人が登板する前に0対10で阪神が負けている展開だったなら、いくらJFKを登板させても勝てる確率は限りなく低いですよね。
監督も、大事な3人の投手を負け試合のマウンドに送るわけにはいきません。JFKを投げさせるということだけでは勝ちパターンとして成り立たず、5回なり6回までリードしているか少なくとも同点という試合展開があって初めて、「勝ちパターン」が成立するのです。
行動が正しくてもチャートの形が不利なら、勝率は低下
野球の話が長くなってしまいましたが、理解していただけたでしょうか?
まゆ子 はい、よくわかりました。
泰造さんとセイジ君はいかがですか?
泰造 野球のたとえはほんとうにわかりやすいですね。FXだけでなく仕事にも生かせそうです。
泰造さん、そうなのです。この考え方は、普遍的なものです。ですから、トレードで利益になるのはもちろん、他のほとんどすべての分野で活用することができます。
セイジ 僕も、ケンさんがなぜ「手法では勝てない、勝ちパターンが必要だ」と言っているのか、わかりました。
よかったです!
FXトレードにおける「勝ちパターン」では、「相場展開=チャートの形」という外部環境と、「利益になりやすいエントリータイミング、注文方法、イグジット( 利食い・損切り)」という一連の行動プロセスが両方必要です。
いくらチャートが勝てる形をしていても行動が伴わなければ勝てないですし、行動は正しくてもチャートがそもそも不利な形なら、勝てる確率はぐんと下がります。
どんな手法を使って取引してもかまいませんが、その手法を覚えて安心するのではなく、そのやり方で「勝ちパターン」を構築することを意識するといいと思います。
利益をもたらすのは、「勝ちパターン」だけなのです。
まゆ子 有利な試合展開と強い武器の投入であるということですね。手法というのは、武器の使い方だけだと考えると、勝ちパターンがなければ利益を出せないというのも、納得がいきます。