実態を把握し、レベルに合わせた教育戦略を立てる
前回の続きです。
続いて、「入口」である「対象者の現状」を明確化します。対象者のレベルによって「教育戦略」は異なってくるため、適切に対象者の実態を把握する必要があります。噂や思い込みで決めつけることなく、現場(対象者自身や対象者の上司)の生の声を拾い、リサーチしてください。
作成した「行動チェックリスト」を対象者の直属上司に確認してもらい、対象者が、何ができて、何ができていないかを見極めてもらう方法は非常に有効です。傾向がわかれば、多くの対象者ができていないところから優先的に強化する研修内容にしていけばよいのです。
また、研修が終わり、職場・リアルワールドでのトレーニングの数カ月後などに、対象者の直属上司に「行動チェックリスト」を用いて再度レベルをチェックしてもらいましょう。これには、上司に、研修前と研修後の差分を見てもらうことで、研修の成果、リアルワールドでの学習の重要性、対象者の努力などを認識してもらえるというメリットがあります。
もちろん、対象者本人にもセルフアセスメントをしてもらい、自分が何ができて、何ができないかと気づいてもらうと、研修効果はさらに高くなります(“大人は学ぶ必要性を理解しないと学ばない”のです)。
さらにいうならば、常に現状把握できるスキームを持っておくとよいでしょう。そうすることで、研修のビフォーとアフターの差を明確にすることができます。研修の効果を正確に把握することで、次の人材教育の戦略へつなげていくのです。
戦略に合わせた「ロードマップ」の構築も必要
人材教育の戦略とは、「入口」と「出口」のギャップをどう埋めるのか、つまり、HOWを考えることをいいます。
まず、はじめにプロジェクトとしての方針やコンセプトを決めます。人材教育のベースとなるものです。私たちが作成する際には、お客様の大事にしている言葉や考え方を盛り込むので、形式は多様になります。
「ロードマップ」とは、対象者に知識とスキルと態度を身につけさせていくための計画表です。「ロードマップ」は以下の7つの軸で整理をしていきます。
・登場人物(ステークホルダー全員を含める)
・目的
・タイミング
・方法
・コンテンツ
・アクティビティ
・学習サポート
対象者の研修の前に、人材教育担当者自身や直属上司のキャッチアップが必要であれば、最初に人材教育担当者が学び、続いて直属上司に向けた研修を実施し、最後に対象者向けの研修という3本立てでロードマップを構築しなければなりません。
この話は次回に続きます。