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![不動産ファンドの仕組みとメリット・デメリット](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/f/f/1280mw/img_ff705dffce2ccf60288dd87bc8bc1fe4110479.jpg)
不動産投資をお考えの方は「不動産ファンド」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。一言で不動産ファンドといっても、いろいろな種類に分類することができます。ここでは、代表的な不動産ファンドの仕組みや種類について紹介し、メリット・デメリットについて説明していきます。
■不動産ファンドとは
一般的に「ファンド」とは複数の投資家から資金を集めて投資を行い、それによって得られた収益を投資家に分配する仕組みのことをいいます。つまり不動産ファンドとは、主な投資対象が不動産であるファンドということです。投資対象の不動産の種類にもいくつかの種類があります。例えば、マンションなどの住宅、リゾートホテル、商業施設、物流施設、介護・医療施設などがあり、それらを組み合わせて運用しているファンドもあります。投資対象が不動産に限定されているファンドだけでなく、株式投資も組み合わせているファンドもあります。また、家賃収入などの運用益(インカムゲイン)を重視するファンドもあれば、不動産の売却益(キャピタルゲイン)を重視するファンドもあるなど、運用の仕方もファンドによってさまざまです。
さらに、不動産ファンドは「不動産特定共同事業」と「不動産投資信託」に分類することができます。不動産ファンドに投資するにあたり、これらの違いを理解しておくことは大切です。
◇空室リスク
空室が発生すると家賃収入が得られなくなります。それでもローンの支払いなどは継続していかなければなりません。空室期間が長くなればなるほど経済的な負担は増していきます。また、中古マンションの場合、現在入居中の入居者が転居した後に次の入居者がなかなか決まらないということもあります。例えば、近隣に新築のマンションが建ったり、家賃の安いマンションがあったりすると、入居希望者がそちらに流れてしまう可能性があります。
■不動産特定共同事業法に基づく不動産ファンドの仕組みとは
不動産特定共同事業法は、不動産ファンドを運用する事業者に適用される法律で、適正な運営の確保と投資家の利益の保護を図る目的があります。この法律に基づいて運用される不動産ファンドの種類と特徴について解説します。
◇任意組合型
任意組合型では、投資家はまず不動産の共有持分を取得します。そして、投資家と事業者は任意組合契約を結びます。次に投資家は、持分を組合に現物出資し、組合が不動産の管理・運営を行い、得られた収益を投資家へ分配します。
この方法では、実際の不動産を共同所有という形で取得することになります。例えば、1口100万円、5口から購入可能など、通常何億円もするような不動産物件の一部を比較的少額で取得することができます。なお、権利関係は実際に不動産を所有している場合と同じですので、登録免許税や不動産取得税など登記のための費用がかかります。
◇匿名組合型
匿名組合型では、投資家は匿名組合に資金を出資します。そして、組合がその出資金によって不動産を取得し、管理・運営を行います。運営によって得られた収益は投資者へ分配されます。任意組合型では、投資者が現物不動産を取得し現物出資していたのに対し、匿名組合型では、金銭を出資するという点が大きく異なります。また、匿名組合型では、投資家が不動産の所有権を持つわけではありません。事業者が所有者として登記されるため、投資家が登記にかかる費用を負担する必要はありません。
■不動産投資信託の種類
不動産投資信託はREITとも呼ばれます。投資家からお金を集めて運用するという点では特定共同事業と同じですが、不動産投資信託は「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいて運用されます。不動産投資信託は、資金の集め方によって以下の二つに大別されます。
◇公募ファンド
公募ファンドは広く一般に投資者を募るファンドのことです。例えば、証券会社、銀行、保険会社などで扱われていたり、新聞やテレビなどで宣伝されていたりします。公募ファンドは主に不特定多数の個人投資家に対して販売されます。また、公募ファンドは証券取引所に上場されており、株式と同じように経済状況や需要と供給などの影響によって日々価額が変動していきます。売買する際も株式投資と同じような方法で行うことができるため、換金性に優れているという特徴があります。
◇私募ファンド
私募ファンドは、証券市場に上場されておらず、事業法人や機関投資家など一部の投資家だけを対象に販売されるファンドのことです。私募ファンドでは投資家が限定されていることもあり、家賃収入などのインカムゲインだけでなく、売却によるキャピタルゲインを目的としたハイリスク・ハイリターンな運用をするものも多くあるようです。また、最少投資金額は公募ファンドでは数万円程度から購入できるのに対し、私募ファンドでは億単位で必要になるという特徴もあります。
■不動産ファンドを利用するメリット・デメリット
不動産投資をする際、不動産ファンドを利用することは、実際の不動産を購入することと比較してどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
◇不動産ファンドを利用するメリット
まず、比較的少額で始めることができるのがメリットといえます。実際の不動産を購入しようとすると、多額の費用が必要になりますが、不動産ファンドを利用する場合、同じ予算でも分散投資が可能になります。例えば、マンションの1室だけ、あるいはアパート1棟だけを所有する場合などは、地震が発生した場合や周辺の家賃相場の下落などのリスクが集中します。また、所有している不動産で事件が起きれば、その損失は非常に大きいものになりかねません。しかし、不動産ファンドを利用することで、複数の物件に分散投資することが可能になります。また、一定の金額ずつ追加で購入していくこともできるため、時間的にもリスクを分散させることができます。さらに、相続する際に分割しやすいというメリットもあります。相続人の数に合わせた口数を取得しておくことで、スムーズに遺産を分割することも可能になります。
◇不動産ファンドを利用するデメリット
一方デメリットは、期待したほどの収益が得られないかもしれないということです。不動産ファンドには大勢の出資者がいるため、一人当たりが受け取れる分配金が少なくなる可能性があります。また、ファンドの運営にはコストがかかるので、そのコストも投資家が負担する必要があります。さらに、不動産ファンドの種類は非常に多くあるので、自分に最適なファンドを選ぶために慎重さが求められます。それぞれのファンドの特徴やスキームなどをしっかりと理解したうえで投資をしないと、思わぬリスクを抱えることにもなりかねません。
不動産投資として不動産ファンドを利用するのは選択肢の一つです。まずは、実際の不動産を取得することと比較して、どちらが自分の投資スタンスに合っているかを判断しましょう。そして、不動産ファンドを利用することにしたなら、種類や特徴についてよく調査することが重要です。不動産ファンドも投資ですので当然ながらリスクがあります。どれほどのリスクを許容できるか見極めることが大切だといえるでしょう。
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