金融商品の分散には「国債・投資信託」等の選択肢も
今回は、実際にどのような形で分散投資を行っていくべきなのか、そのポイントについて具体的に解説していきましょう。
まず、「金融商品の分散」については、不動産ファンドだけでなく、別の種類の投資商品、たとえば本書の第2章で取り上げた国債、投資信託、リート、さらには株式に投資するという方法が考えられるでしょう。
これらの商品には市場で価格が変動するリスクがありますが、不動産ファンドに投資していれば、そのリスクを限定的なものにすることが可能となります。市場環境が良好な場合には、とりわけ株式、投資信託は不動産ファンド以上のリターンを生み出す可能性があるので、それぞれの商品のリスクをしっかりと意識しておけば、資産を効率的に増やすことが期待できるかもしれません。
また、「場所の分散」という観点からは、外貨建ての資産で運用するという手段も検討してみるとよいでしょう。
たとえば、ドルやユーロなどの外貨預金を行う、海外の株式や国債、投資信託を購入するという選択肢がありえます。国内でインフレが起こり円の価値が低くなったとしても、外貨建ての資産は価値が変わらないので分散投資という観点から見てインフレヘッジの手段としても有効です。
単一ではなく、複数の不動産ファンドの所有が理想的
さらに、不動産ファンドに投資するにしても、分散投資の観点からは、単一ではなく複数の不動産ファンドを保有することが理想的といえるでしょう。
まず、LCレンディングが手掛ける商品を例にあげれば、たとえば運用期間12カ月の短期型の商品に5万円を、運用期間36カ月の長期型の商品に5万円を投資するという方法がありえます。
また、クラウドファンディグマーケットが拡大した場合には、当社だけでなく、投資戦略の異なる別のAM会社が運用しているファンドに投資するという選択肢も考えられます。
先に述べたようにAM会社によって運用戦略や投資のポリシーなどは異なります。そこで、たとえばコア型の運用戦略をとっているAM会社の不動産ファンド商品に5万円を、残り5万円をオポチュニスティック型の運用戦略をとっているAM会社の不動産ファンド商品に投資することによってリスクとリターンのバランスを図るのも有効な投資手法かもしれません。
あるいは、主としてオフィスビルに投資している不動産ファンドだけでなく、ホテルを得意とする不動産ファンドを購入するなど、様々なプロパティータイプのファンドで資産運用することも、分散投資の1つの方法といえるでしょう。
そうした分散投資の観点から、今後、複数のファンドを選ぶ際に、特に注目しておきたい不動産のタイプとしては、①海外不動産、②観光関連アセット、③社会インフラ型アセットがあげられます。
次回は、それぞれの中身について、順に詳しくみていきます。