投資対象の選別には「知識」「経験」が必要だが…
山田:ゆっくりと長い時間をかけて資産運用をしていけばいいことはわかりましたが、何に投資したらいいのか、僕にはさっぱりわかりません。
高橋:もちろん手間暇かけて投資対象を選別していく方法もありますが、そのためにはかなりの資金と知識、経験がないと難しいですよね。でも、実はズボラでも投資できる方法もあるんですよ。
山田:ホントですか? その方法とは何ですか?
高橋:それは、インデックスファンドを使って世界経済全体に投資すること。市場全体に投資するのであれば、どの企業に投資すればいいかを考えなくてもいいからです。短期的に見れば、上がったり下がったりしますが、長期的に見れば、上がる確率がかなり高いんです。
山田:ち、ちなみに、「インデックスファンド」って、何でしょうか?
高橋:投資信託を大きく分けると、アクティブファンドとパッシブファンドの2つのタイプがあります。アクティブファンドは、ファンドマネージャーがどの企業がいいかを選んで、積極的に投資していくもの。一方、市場の平均に連動するように、つまり市場全体の動きと合致するような仕組みになっているのがパッシブファンドで、その代表的なものがインデックスファンドです。
山田:じゃ、日経平均に連動するようなものは、インデックスファンドってことですね。
高橋:日本国内だけで見れば、その通りなのですが、グローバルで見たとき、日本のGDPは世界のGDPのごく一部でしかありません。日本のGDPが約500兆円なのに対して、世界のGDPは8000兆円超ですので、1割以下でしかないんです。
山田:そんなに少ないんですね。
インデックスファンドなら、世界経済全体に投資可能
高橋:さらに人口で見ると、世界の人口は約73億人で、日本の人口は1億人程度。今後ますます世界の人口は増えていくことは間違いないですから、経済規模もどんどん大きくなっていくはずです。
山田:だから日本国内だけの投資ではなく、グローバルに分散することが大事なんですね。
高橋:日経平均で言えば、2017年4月末には1万9300円程度でした。でも、最も高いときでは、3万9000円にも上がっていました。
山田:バブルの時代ですね。
高橋:そうです。そのときに買った人は、20年以上も日経平均のインデックスファンドを保有していても、結局増えていないことになります。ですから、単純に日経平均のインデックスファンドを買っておけばいいわけではありません。逆に、今後日本の人口は減っていくわけですから、日本経済が右肩上がりで成長していくとは考えにくいのです。
山田:でも、海外の株に投資するのは、なんとなく怖いイメージがあります。
高橋:そうかもしれませんが、それは知識がないからです。でも、少し勉強すれば、そういった不安はなくなりますよ。
山田:(ギクッ)。具体的に海外のどの企業に投資すればいいかを考えると、正直に言ってよくわからないです。
高橋:馴染みのない企業ばかりですしね。実際に海外に生活をしているわけではないので、肌感覚でも成長しそうな企業かどうかの判断ができないのも仕方がないと思います。でも、別にそのようなことを考える必要はないんです。インデックスファンドを使えば、全体に投資することができますから。手間暇かけずとも、わざわざお金をドルに替えなくても、世界経済全体に投資することができます。
山田:そうなんですね。ホッとしました。
高橋:投資信託のインデックスファンドの中には、海外の市場全体に投資するものがあります。国内株式のインデックスファンドだけでなく、国内の債券や不動産に連動するようなインデックスファンドもあれば、海外の株式や海外の債券、海外の不動産に連動するインデックスファンドもあるのです。