赤字を垂れ流すよりは、切り捨てたほうがよい!?
売却における失敗というのは、高い金利で長期のローンを組んでしまって、かつ家賃も下落している状況で発生します。売れば確実に赤字になるから、持ち続けるしかない、もしくは損失を覚悟して売るよりほかありません。
物件価格が下がりすぎた場合、また借りているローンが長期でかつ高金利の場合には、売却しても残債が払いきれないこともあります。中には「持ち出ししてでも売る」という人もいますが、大抵は損をしてまでは売りたくないと思います。
もちろん、持ち出しの金額によりますが、例えば数百万円ぐらいの持ち出しで処分する方は珍しくありません。こうした失敗事例は地方だけでなく、都内でも見受けられます。
そして新たに物件購入を行い、資産の組み替えを行います。これは一つの物件で見れば「失敗」かもしれませんが、組み替え後の物件が優秀であれば「成功」です。不動産投資はこうしてリカバリーすることができるのです。
仮に損切りになっても、すでに別の優秀な物件があれば問題ありません。赤字を垂れ流すよりは、切り捨てたほうがよいこともあります。これは株と同じ考え方です。
損切りのメリットはほかにもあります。損切りを行うことで債務超過が解消されれば、また新しく物件を買っていくことも可能です。この売却で得るものがなかったとしても、次の道が開くことがあるのです。
新築ワンルームを買って後悔している人は多数存在します。強引なセールスに押し切られ、買うときも「買わされている」、売るときも「売らされている」と表現したほうがよいでしょう。仕事上、決済の場で前オーナーにお会いしますが、終始ずっとうつむいたままです。
「売って良かったよ、次の物件が買える」。こういった明るいものが、みじんもないのです。それは、ただ業者に物件を売らされているからです。
売却でお金が入ってくるといっても、トータルでは損をしているわけですから、精神面でダメージを受けている人もいて、豊かな人生を歩むために始めたはずの不動産投資にもかかわらず、最悪な状態で終わってしまうのです。
私たちがお付き合いしている投資家であれば、売却で300万円のマイナスが出ても、次を見据えた計画を持っています。
不動産の売却にあたって「売値」だけにこだわると・・・
ある投資家は、新築で買ったワンルームマンションを売って損切りしました。300万円ぐらいの損失となりましたが、ローンがなくなることによって、その人の融資枠は広がり、選択肢が増える結果となりました。
その人はいずれ老後を迎えることになるので、ある程度の実績を今つくっておく必要がありました。
この場合、今やるべきことは、売却損を出してでも次の物件に進みましょうという提案を行います。
サラリーマン属性は有限ですが、事業実績は無限です。サラリーマンは必ず定年を迎えますが、法人は定年がありませんし死の概念もありません。世代を超えて存在し続けるのが法人です。
ですから、たとえその人が80歳になったとしても、事業がきちんと回っている実績があれば、金融機関はその事業にお金を貸してくれるのです。
多くの投資家は出口を意識したときに、売値だけにこだわってしまいます。本来は、売ることで手に入る選択肢や、新たな課題といったものに目を向けるべきです。売って確実に儲かるならそれに越したことはありませんが、現実には、いろいろな悩みがあって売りに出す場合もあります。
例えば売却で「物件を売るとキャッシュフローがなくなってしまう、次に買う物件が見つからない」という課題に直面したら、「次に買う物件が本当にないのか」探してみることが大切です。
こうなると同じ損切りでも、捉え方もダメージも全部変わってきます。その先があるかどうかで、まったく違う結末になります。だから、損切りは必ずしもネガティブなものではありません。