圧縮、変性――「ヒスイ」はどのようにして形成されるのか?

今回は、「ヒスイ」はどのようにして形成されるのかを具体的に見ていきましょう。※本連載は、日本彩珠宝石研究所の所長で、独自にコレクション収集も行う飯田孝一氏による著書、『翡翠 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.2)』(亥辰舎)より一部を抜粋し、日本の国石である「翡翠」にまつわる様々な基礎知識をご紹介します。

ひすい輝石は「造山運動」に伴って形成される

地球のマントル内部を構成している橄欖岩(Peridotite)は、地表から運び込まれた水に触れると、分解変質して蛇紋岩となる。

 

 

 

 

そこにアプライト(半花崗岩)などのナトリウムに富んだ火成岩が貫入すると、新しい結晶帯が生じる過程でアルビタイト(曹長岩)が生じ、そこから分化する際に、周囲にある岩石の中からNaやKを取り込み、高い圧力の下でヒスイを形成したと考えられている。

 

その際には、単なる荷重圧だけでなく、地質学的な運動に伴う高圧と局部的な圧縮力が加わっていたこともわかる。

 

事実、ひすい輝石は造山運動に伴って形成されている。

 

この変質は地殻とマントルの境界付近で生じる[広域変成作用]として知られ、形成された蛇紋岩はその後の地殻変動で地表に向けて運ばれるが、その際に受けた変成の大きさがわかるヒスイもある。

 

 

黒色のヒスイの中には「石墨」を含んでいるものも

中には元の岩石が推定できる組織を見せる場合もある。斑レイ岩や玄武岩が変成したと考えられるものや、クロム鉄鉱層や緑色片岩が変化したと思われるものもある。黒色のヒスイの中には石墨を含んでいるものがあり、その様なものでは黒色片岩から変化したと考えられる。

 

 

 

一方で、液相の中で結晶したと考えられるひすい輝石もある。地殻変動に伴い、熱水となった水に溶け込んでいた成分から結晶したものである。

 

 

対比として、高い圧力下で形成されたネフライトの構造写真も載せておく。ジェダイト同様圧力の影響を受けて生じていることがわかるが、ネフライトの方はジェダイトよりも高温低圧型である。

 

 

<解説>

前回紹介したオフィオライト(Ophiolite)帯とは、沈み込み帯や大陸塊が衝突した境界部において、海洋底の地殻や上部マントルなどが地表に露出したもので、そこからはマントルを構成している物質を直接採取することができる。

 

蛇紋岩メランジュ帯とは、蛇紋岩が、地球深部で形成された変成岩や地殻深部から中部にある岩石を大小のブロックとして包有している場所である。

日本彩珠宝石研究所 所長

日本彩珠宝石研究所所長。1950年生まれ。1971年今吉隆治に参画「日本彩珠研究所」の設立に寄与。日本産宝石鉱物や飾り石の世界への普及を行う。この間、宝石の放射線着色や加熱による色の改良、オパールの合成、真珠の養殖などの研究を行う。
1985年宝石製造業、鑑別機関に勤務後「日本彩珠宝石研究所」を設立。崎川範行、田賀井秀夫が参画。新しいタイプの宝石の鑑別機関として始動。2001年日本の宝石文化を後世に伝える宝石宝飾資料館を作ることを最終目的とし、「宝飾文化を造る会」を設立。現在同会会長。2006年天然石検定協議会の会長に就任。
終始“宝石は品質をみて取り扱うことを重視すべき"を一貫のテーマとした教育を行い、“収集と分類は宝飾の文化を考える最大の資料なり"として収集した飯田コレクションを、現在同研究所の小資料館に収蔵。

著者紹介

連載日本の国石「翡翠」の基礎知識

翡翠 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.2)

翡翠 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.2)

飯田 孝一

亥辰舎

2016年に日本の国石として決定された「翡翠」。本書では、ヒスイの伝説や歴史、産出される形態、類似の石の一覧や、簡単な鑑別方法から専門法までご紹介します。翡翠について興味のある方や、宝石人必携の書です!

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧