ひすい輝石は「造山運動」に伴って形成される
地球のマントル内部を構成している橄欖岩(Peridotite)は、地表から運び込まれた水に触れると、分解変質して蛇紋岩となる。
そこにアプライト(半花崗岩)などのナトリウムに富んだ火成岩が貫入すると、新しい結晶帯が生じる過程でアルビタイト(曹長岩)が生じ、そこから分化する際に、周囲にある岩石の中からNaやKを取り込み、高い圧力の下でヒスイを形成したと考えられている。
その際には、単なる荷重圧だけでなく、地質学的な運動に伴う高圧と局部的な圧縮力が加わっていたこともわかる。
事実、ひすい輝石は造山運動に伴って形成されている。
この変質は地殻とマントルの境界付近で生じる[広域変成作用]として知られ、形成された蛇紋岩はその後の地殻変動で地表に向けて運ばれるが、その際に受けた変成の大きさがわかるヒスイもある。
黒色のヒスイの中には「石墨」を含んでいるものも
中には元の岩石が推定できる組織を見せる場合もある。斑レイ岩や玄武岩が変成したと考えられるものや、クロム鉄鉱層や緑色片岩が変化したと思われるものもある。黒色のヒスイの中には石墨を含んでいるものがあり、その様なものでは黒色片岩から変化したと考えられる。
一方で、液相の中で結晶したと考えられるひすい輝石もある。地殻変動に伴い、熱水となった水に溶け込んでいた成分から結晶したものである。
対比として、高い圧力下で形成されたネフライトの構造写真も載せておく。ジェダイト同様圧力の影響を受けて生じていることがわかるが、ネフライトの方はジェダイトよりも高温低圧型である。
<解説>
前回紹介したオフィオライト(Ophiolite)帯とは、沈み込み帯や大陸塊が衝突した境界部において、海洋底の地殻や上部マントルなどが地表に露出したもので、そこからはマントルを構成している物質を直接採取することができる。
蛇紋岩メランジュ帯とは、蛇紋岩が、地球深部で形成された変成岩や地殻深部から中部にある岩石を大小のブロックとして包有している場所である。