納税資金の確保、公平な遺産分割・・・メリットは多い
ここまでに紹介した相続税の「節税策」からさらに一歩進んだ対策もあります。たとえば生命保険などは納税資金を確保するためにも活用できるので、積極的に検討したい対策の一つです。そのほかにどんな相続税対策があるのでしょうか?
相子 相続税の対策に生命保険がいいと聞いたことがあるんですけど、どうなのでしょう?
北井 高齢の方が生命保険をかける理由として多いのは葬儀費用の準備です。前にも紹介したとおり葬儀には平均で200万円程度かかりますので、配偶者や子供に迷惑をかけないよう生命保険に入る人が多いのです。それに加えて、生命保険には「相続を円滑にする」という働きがあります。
相子 そうなんですか?
北井 はい。分割のトラブルを防ぎ、スムーズな納税を支援する効果があるのです。こちらの効果を意識する人が増えれば、円満な相続がもっと増えるはずです。
[ 生命保険が相続にもたらす主なメリット ]
①納税資金を準備できる
②遺産分割の公平性を高められる
③相続税を節税できる
納税資金がないと、自宅を手放すことにも・・・
相子 具体的にはどういうことですか?
北井 では、一つずつ説明していきますね。まず、「①納税資金を準備できる」というのは、相続人にとっては大変ありがたい生命保険の働きです。納税資金がないとさまざまな問題が発生するのは、すでにお伝えしましたね? 不動産や自社株など、現金以外の相続財産が多いケースでは、相続人は納税資金に困りがちです。
相子 納税資金を準備しておかないと、預貯金がなくなったり、自宅や土地を売るはめになったりというケースがあるんですよね。
北井 そうです。ですから納税資金の準備は非常に大切なのですが、それだけのキャッシュを常に確保しておくのは大変ですよね。納税資金が心配だからお金を使えないとなると、被相続人の老後は不便なものになります。そこで、生命保険で賄うのが一番合理的な方法なのです。