前回は、相続税を減額できる「小規模宅地等の特例」の概要について解説しました。今回は、ケースによっては大きな節税効果が得られる、不動産を活用した相続対策について見ていきます。

実際の市場価格より評価額低く抑えられる!?

相子 先生、「小規模宅地等の特例」が使えるなら、現金は不動産化しておいたほうがお得なんですか?「相続税対策に不動産を建てないか」という広告チラシをよく目にするんですが、不動産を建てると相続税の節税になるんですか?

 

北井 たしかに不動産の購入が相続税対策として有効な場合があります。これは不動産の相続税評価額に「からくり」が隠されているのです。

 

相子 どういう「からくり」なのでしょうか?

 

北井 土地や建物が相続財産としていくらと評価されるのかということです。たとえば3000万円の現金や預貯金はそのまま3000万円と評価されます。ところが不動産は路線価などを基準に評価される上、さまざまな特例があるので、評価は実際の市場価格よりかなり低く抑えられるのです。

空室が増えると返済が滞り、担保を失うリスクが・・・

相子 どのくらい低くなるのですか?

 

北井 相続税評価額としては、一般的に建物で建築費の5~6割程度、土地は更地の8割程度で評価されます。購入した不動産がアパートやマンションなどの賃貸住宅の場合には、さらに借地権・借家権の分が引かれます。5000万円でアパートを購入した場合の試算を例として考えましょう。

 

[図表]不動産による節税効果

 

相子 すごい! うちでも早速、父にすすめてみようかしら。

 

北井 ただ、アパートやマンションの経営は簡単ではありません。特に借入をして建てた場合は、家賃収入で月々のローンを支払わなければなりません。空室が増えるとローンの返済が滞り、結局担保となっている土地を失ってしまう危険性があります。その土地に賃貸物件を建てて利益を出せるのか、しっかり検討してから決めることが大切です。その点も専門家である税理士に相談することをおすすめします。

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    本連載は、2016年12月14日刊行の書籍『「相続」のことがたった1時間でわかる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    北井 雄大

    幻冬舎メディアコンサルティング

    相続税の納税資金が足りず資産を手放すことになった、知らぬ間に親が多額の借金をしていた、相続財産の分配について家族間で争いが起こった…。相続では、正しく対策を打っておかなければ、残された家族が大きなトラブルに巻き…

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