今回は、融資金の早期返済について、銀行と交渉する際のポイントを見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「ゴネたらまけてくれました!」

“余分な借入は返しなさい!”と言うと、
“違約金がかかりますよ、と、銀行から言われました。”
との返事が返ってくることがあります。
「違約金」というと、なんだか罰金みたいです。
が、実際には、早期返済する際に、
残りの支払うべき金利をいっぺんに支払う、
というだけのことです。
確かに、借入時の約定書のなかに、
「違約金」のことが小さく記載してあります。

 

ところが、
“違約金を少し下げてもらいました!”
“ゴネたらまけてくれました!”
という経営者に、ときどきお目にかかるのです。
“それは良かったですねぇ!”とは言いながらも、
不思議に感じていました。
「違約金」は、約定書に記載されているのです。
なのに、下がる、というのは、いったいどういうことなのか?

 

で、ある銀行出身の方に尋ねてみました。
すると、
“ああ、それは違約金の手続きが銀行内で済んでいないんですよ。”
という返事をいただきました。

「違約金」の話は銀行サイドからの駆け引き!?

約定書の基本フォーマットには、違約金のことが記載されています。
しかし、個別の融資に違約金を設定するには、
銀行内ではまた別の手続きが必要だ、ということです。
その、いわば社内手続きがけっこう面倒くさく、
「違約金」設定の社内処理がされていない、
ということが、多いのだそうです。

 

社内処理が済んでいないので、
正式には「違約金」の設定がされていない状態です。
なので、
“違約金が下がりました!”
“まけてくれました!”
などといったことが、起こってくるのです。

 

借入金を早期返済しようとすると、
“違約金がいりますよ。”
と銀行が言うのは、早期返済してほしくないがための、
銀行サイドからの、駆け引きです。
しかし実際は、社内手続きは未処理のまま、
という場合があるのです。
そのまま違約金を払うのではなく、
“違約金なんて少し下げてもらわないと、
 次はもう、よそからしか借りないよ。”
くらい、言ってもいいのです。
今は、財務体質さえ強ければ、
借りる側のほうが有利なのですから。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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