不動産だけでなく、預金もドバイ・アブダビにある場合
資産防衛を目的に、日本円の預金以外にも財産を振り分ける人が増えています。なかでも、ハワイ、マレーシア、フィリピン等の不動産投資は富裕層を中心に人気を集めていますが、近年では急速な経済的発展とともに、相続税の課税がないことが注目され、ドバイ・アブダビの不動産投資にも関心が高まっています(『海外不動産の相続…「ハワイ・東南アジア諸国」と比較した「ドバイ・アブダビ」不動産の相続手続きの実情【国際弁護士が解説】』参照)。
一方で、海外に残す財産は不動産だけとは限りません。現地の銀行に預金を置いている場合もあるでしょう。日本人の投資家が、ドバイ・アブダビの不動産物件と、UAEに預金を保有している事例を想定し、遺言書作成の手順を見ていきます。
DIFCの裁判所が提供する「遺言登録制度」を利用する
DIFC(ドバイ国際金融センター)の裁判所が提供する遺言登録制度は、英米法(コモンロー)の考え方を基礎に、遺言の登録から執行までの規則が整えられています。
UAEの居住者である必要はなく、日本に住んだままビデオ会議で登録できます。遺言は英語で作成し、誰に何を遺すか、手続を進める遺言執行者を誰にするかなどを決めます※1、2。
ドバイとアブダビの物件に加え、UAEの預金などもまとめて遺したい方には、包括型の「Full Will」が利用できます。公式FAQでは、現在も過去もイスラム教徒でない18歳以上の方で、UAEに資産を持つか、UAEで未成年の子と同居していることが利用条件とされています。UAEに住んでいる必要はありません※1、2。
作成を依頼する際は、物件の契約書や権利証、預金口座などの資料を弁護士に渡します。個人名義か会社名義か、単独所有か共有かによって、遺言に記載する内容が変わるためです。会社名義の物件であれば、本人が遺す対象は、不動産そのものではなく会社の持分などになります。
建設中の物件では、支払済みの金額と残代金、今後の支払日も共有します。また、Full Willは、将来取得する財産も対象に含める書き方ができます。買い増しのたびに作り直す負担を抑えられます※1。


