建築コストと借入金利が収支を左右する
投資用不動産の価格上昇を考えるうえで、建築コストの動向も見逃せません。建築資材費や人件費の上昇は、新築物件の供給価格を押し上げる要因となります。国土交通省が公表する『建設工事費デフレーター』も、建設工事費の動向を把握するための指標です。
新築物件の価格が上がれば、中古物件の価格にも影響が及ぶ可能性があります。そのため、築年数が経過していても、価格が下がりにくい物件がみられます。ただし、立地や建物の状態、賃貸需要によって価格の動きは異なります。
もう一つ注意したいのが、借入金利の変化です。金融政策や市場金利の動向によって、不動産投資ローンの借入条件が変わる可能性があります。借入金利が上昇すれば、変動金利型のローンなどでは返済負担が増えることも考えられます。
価格が高く、表面利回りが低い物件ほど、借入条件の変化が収支に与える影響を慎重に見極める必要があります。表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割った数値であり、管理費や修繕費、固定資産税、ローン返済などを差し引いた手残り額を示すものではありません。
たとえば、東京23区の区分マンションでは、築10年未満の表面利回りが3.69%、築20年以上でも5.62%にとどまっています。この水準で物件を購入する場合、空室の発生や修繕費の増加、借入金利の上昇によって、想定していた収支が崩れる可能性があります。購入価格だけでなく、借入額や返済期間を含めた資金計画が重要です。
地域によって異なる利回り、購入前に確認すべきこと
区分マンションの利回りを地域別に見ると、東京23区と地方主要都市では異なる傾向がみられます。
東京23区では、築10年未満の区分マンションの利回りが3.69%であるのに対し、築20年以上は5.62%です。築年数が古い物件でも利回りは比較的低く、高い収益性を得るには購入価格や賃料収入を慎重に見極める必要があります。
一方、仙台市では、築10年未満の区分マンションの利回りが4.03%であるのに対し、築20年以上は11.67%と、大きな差があります。ただし、利回りが高いからといって、必ずしも有利な投資とは限りません。築年数が古い物件では、修繕費や設備交換費用がかさむ可能性があるほか、空室が続けば想定した家賃収入を確保できないこともあります。
不動産投資では、表面利回りだけで購入の可否を判断するのは避けたいところです。地域の人口動態や賃貸需要、周辺の家賃相場に加え、将来必要となる修繕費や管理費、借入金利の変化も考慮する必要があります。
収益不動産の価格が過去10年間の最高値を更新するなか、購入価格の上昇を家賃収入でどこまで補えるのかが、投資判断の重要なポイントとなります。物件ごとの収支を具体的に試算し、空室や金利上昇が起きた場合にも返済を続けられるかを確認したうえで、購入を判断することが大切です。

