(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅価格の高騰と住宅ローン金利の上昇に加え、住宅取得者や不動産投資家を悩ませるもう一つの負担が「火災保険料・地震保険料の上昇」です。頻発する自然災害と建築費の高騰を背景に、火災保険の参考純率は過去10年余りで引き上げを繰り返しています。損保料率機構の公表資料から2026年以降の動向を読み解くとともに、住宅購入者と一棟賃貸マンションを保有する個人投資家が取るべき対策とはなにか、「保険料インフレ」にどう立ち向かうべきかを見ていきます。

火災保険の参考純率は累積で4割超上昇

家を買う際、多くの人が重視するのは物件価格と住宅ローンの毎月返済額だろう。だが、住宅を取得した後も、固定資産税や修繕費、管理費などの支出は続く。なかでも家計への影響を増しているのが火災・地震保険料である。

 

損保料率機構によると、住宅総合保険の参考純率は2014年以降、5回にわたり引き上げられてきた。実際の保険料改定率ではないものの、各回の平均改定率を機械的に連乗すると約43.5%の上昇に相当する。

 

特に目立つのが2021年の10.9%、2023年の13.0%という2度の大幅引き上げである。

 

2023年の改定では、全国平均の引き上げに加え、水災に関する料率を地域のリスクに応じた5区分へ細分化された。これを受けた2024年10月の各社の商品改定では、地域や建物による保険料の差がさらに意識されるようになった。

 

今年は千葉などで深刻な水没が発生したことでなおさら水害に関する危機意識が醸成されるようになったため、今後の保険料率に影響を及ぼす公算は大きい。

 

もっとも、参考純率は保険会社が保険金支払いに充てる部分の参考数値であり、実際の保険料そのものではない。各社は事業経費なども加味して独自に保険料を設定するため、契約者の負担増加率と一致するわけでもない。それでも、長期的な上昇傾向が鮮明だ。

 

背景にある要因としては、台風や集中豪雨などの自然災害による被害の拡大に加えて、住宅の老朽化に伴う損害リスクや、資材価格、人件費の上昇による修理費の高騰も無視できない。

 

かつて数十万円で修理できた住宅設備や屋根などの損傷が、資材高や職人不足によって以前より高額になる。保険会社にとっては、同じ規模の事故でも保険金支払額が膨らみやすい構造に変わりつつある。

 

金融庁の損害保険に関する有識者会議資料でも、火災保険の収益悪化要因として自然災害に加え、再保険コストの増加などが示されている。

 

海外の再保険市場の変化も、国内の保険料を押し上げる一因となる。つまり、仮に大きな自然災害が発生しない年があっても、それだけで保険料が値下がりするとは限らない。

2027年以降も値上げ圧力は続くのか

では、2026年以降の火災保険料はどのように推移するのか。結論から言えば、2027~2030年にかけても火災保険料には上昇圧力が残り、全国一律の値上げから、地域や建物のリスクに応じた保険料の選別が進むとみられる。

 

ただ、損保料率機構が2026年10月9日までに公表した改定情報を確認する限り、火災保険参考純率の直近の改定届出は2023年6月である。2027年以降の新たな全国平均改定率や実施時期が公表されたわけではない。

 

今後の保険料を左右する要因は主に3つ考えられる。

  • まずは自然災害リスクの変化だ。局地的な豪雨による浸水、強風による屋根や外壁の損傷など、住宅が被害を受ける経路は多様化している。被害が広域に及べば、多額の保険金支払いが発生する。
  • 次に建築費と修繕費の高騰である。保険会社が負担するのは被害を受けた建物を修復する費用だ。資材や労務費が高止まりすれば、自然災害の発生件数が変わらなくても支払保険金の増加につながる。
  • 最後に保険会社の収益構造の見直しである。大規模災害に備える再保険の費用や事業運営コストが上昇すれば、保険商品の収益性を維持するため、料率や補償条件の調整が進む可能性がある。一方、災害の少ない年が続く、修繕費が安定する、保険会社間の競争が強まるといった場合には、上昇圧力が弱まる余地もある。値上げが毎年繰り返されると決めつけるべきでもない。

 

次ページ【2026年以降の保険料見通し】

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