(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅価格の高騰と住宅ローン金利の上昇に加え、住宅取得者や不動産投資家を悩ませるもう一つの負担が「火災保険料・地震保険料の上昇」です。頻発する自然災害と建築費の高騰を背景に、火災保険の参考純率は過去10年余りで引き上げを繰り返しています。損保料率機構の公表資料から2026年以降の動向を読み解くとともに、住宅購入者と一棟賃貸マンションを保有する個人投資家が取るべき対策とはなにか、「保険料インフレ」にどう立ち向かうべきかを見ていきます。

住宅購入者は「物件価格+保険料」で判断を

こうした環境変化を踏まえ、これから住宅を購入する人は何を重視すべきなのか。

 

第一に、購入予定地の災害リスクを調べること。従来の住宅選びでは駅からの距離や生活利便性、教育環境などが重視されてきた。しかし、自然災害に伴う修繕負担や保険料の差を考えれば、災害リスクも立地選択の重要な条件となる。

 

国土交通省などが公開するハザードマップポータルサイトでは、洪水や土砂災害、高潮、津波などの危険性を確認できる。とはいえ、ハザードマップで危険区域に指定されていないからといって被災しないわけではない。地形、過去の浸水履歴、周辺の排水設備なども併せて確認したい。

 

第二に、建物の耐震性や耐火性を確認することだ。建物構造によって保険料が異なるほか、地震保険には耐震性能などに応じた割引制度がある。購入時の建築費や物件価格だけでなく、維持費の違いも比較する必要がある。

 

第三に、保険の契約方法を見直す。現在、一般的な火災保険の新規契約は最長5年となっている。以前のように長期契約によって数十年間の保険料を固定することはできない。

 

複数社の見積もりを比較し、補償範囲、免責金額、契約期間などを見直すことが重要になっている。水災リスクが低いからといって、十分な調査をせず水災補償を外す判断は避けたい。

 

ある保険代理人のエージェントは、将来の改定率を予測するものではないと前置きしたうえで、「例えば火災・地震保険料の合計が年間8万円相当の住宅で、仮に毎年3%ずつ上昇した場合、10年後の年間負担額は約10万4000円となる」と指摘する。

一棟賃貸マンション投資家に迫る収益悪化

火災・地震保険料の上昇は、不動産投資家にとってさらに切実な問題となる。特に一棟賃貸マンションを保有する個人投資家は、自然災害による建物損傷だけでなく、修繕費の高騰、空室発生、賃料収入の減少、借入金利の上昇など、複数のリスクから直撃を受けやすい。

 

保険料は建物を保有する限り発生する経常的な支出であり、上昇分を直ちに賃料に転嫁できるとは限らない。例えば、ここで保険料が30%上昇し、さらに他の運営費が10%増加した場合、年間の営業純収益(NOI)はどう変化するだろうか。

 

以下の仮定で前述の保険エージェントに一棟賃貸マンションの収益を簡易的に試算してもらうと次のようになる。

  • 年間家賃収入1800万円

  • 年間NOI(純営業収益)1340万

  • 空室率は一定

  • 借入返済・税金・減価償却前

  • 保険料を除く年間運営費400万円

  • 火災・地震保険料60万円

  • 保険料の上昇率30%

  • その他の運営費上昇率10%

 

以上の仮定で前述の保険エージェントに一棟賃貸マンションの収益を簡易的に試算してもらうと、現在の年間NOIは上昇後に1282万円と58万円減少し、減少率は 4.3%になる。

 

さらに問題となるのが、地震や水害などによって建物が損傷し、入居者が退去した場合である。建物の修繕費だけでなく、修復期間中の家賃収入の減少が発生する。借入金の返済は原則として続くため、キャッシュフローが急速に悪化する可能性もある。

 

一棟賃貸マンションの地震保険は、居住用の共同住宅として対象になり得るが、例えば建物全体に一律5000万円という限度を当てはめるわけではない。住戸ごとの限度や契約形態などを確認する必要がある。地震による家賃収入減少は一般的な地震保険だけで当然に補償されるものではない。

 

事業用の火災保険や家賃収入補償特約などについても、対象となる事故、支払条件、地震免責の有無を精査すべきだ。

 

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