「いちごを渡すだけのつもりが…」娘のひと言に驚いた72歳母
「娘の家までは歩いて15分ほどなんです。近いので、買い物の帰りに寄ることもよくありました」
そう話すのは、72歳の和子さん(仮名)です。
和子さんは夫の正雄さん(74歳・仮名)と2人暮らし。夫婦の公的年金は合わせて月約19万円で、住宅ローンを完済したマンションに住んでいます。
2人には40歳の長女・美咲さん(仮名)がいます。美咲さんは夫と小学3年生の息子、保育園に通う娘との4人暮らしです。
美咲さん一家が現在の住まいに引っ越してきたのは、3年ほど前のこと。以前は電車で1時間以上かかる場所に住んでいたため、和子さんは近くなったことを喜んだそうです。
「孫たちにもすぐ会えますし、娘が仕事で忙しいときは何か手伝えると思ったんです」
和子さんは週に1、2回、美咲さんの家を訪ねるようになりました。
最初のころは、娘から頼まれて保育園のお迎えを手伝ったり、夕食のおかずを届けたりすることもあったといいます。
「母が作る煮物を孫たちが好きなので、多めに作ったときは持っていっていました」
やがて、特に用事がなくても立ち寄る機会が増えました。
買い物の帰りに果物を届けたり、孫に新しい服を買ったときに持参したり。美咲さんから頼まれたわけではありませんが、喜んでくれると思っていたそうです。
ある土曜日の午後、和子さんは夫と買い物に出かけた帰り、娘宅に寄ることにしました。
「いちごを買ったから、孫たちに渡してこようと思って。夫は車で待っていたんです」
インターホンを押すと、美咲さんが出てきました。しかしいつものように笑顔で迎えてくれる様子ではありません。
「お母さん、今日来るって言ってた?」
「言ってないけど、いちごを買ったから。ちょっと渡すだけよ」
すると、美咲さんは困ったような表情で言いました。
「突然来るの、本当にやめて。前にも連絡してってお願いしたよね」
和子さんは驚きました。
以前、娘から「来るときは連絡してね」と言われたことはありましたが、留守だったときに困らないためだと思っていたのです。
「玄関で渡して帰るつもりだったのに、そんなに嫌だったの?」
美咲さんは「今日は家族でゆっくりする日なの」と答え、いちごを受け取ると玄関のドアを閉めました。
和子さんは、車で待つ夫に事情を話せないまま帰宅したそうです。
