日本の固定資産税は安いのか
日本とニューヨーク市の事例を比較すると、住宅に対する固定資産税の仕組みが大きく異なることが分かります。
日本では、住宅用地の課税標準を軽減する特例や、新築住宅の建物部分に対する減額措置などによって、住宅所有者の税負担を抑えています。これに対し、ニューヨーク市では、一定の条件を満たす住宅に対して長期間の減税を認める一方、その適用期間が終了すると、税負担が大幅に増えるケースがあります。
もちろん、固定資産税の負担を国際比較する際には、単純に税額だけを比べることはできません。土地や建物の評価額、住宅価格、税率、自治体の公共サービス、他の税負担などを考慮する必要があります。また、米国でも税率や減免措置は地域によって異なるため、ニューヨーク市の制度を米国全体に当てはめることもできません。
それでも、日本では高額なタワーマンションであっても、住宅用地の特例などが適用されることで、土地部分の固定資産税負担が軽減されます。住宅所有者にとっては、こうした制度の恩恵は小さくありません。
では、日本の固定資産税が相対的に低いとすれば、それは住宅所有者にとって望ましい制度だからなのでしょうか。それとも、地方自治体の財源確保や公共サービスの負担という観点から、別の問題を抱えているのでしょうか。
海外の固定資産税が日本より高いというだけで、その国を「先進国」、日本を「後進国」と判断することはできません。重要なのは、税負担の水準だけではなく、どのような政策目的で減税を行い、その終了後の負担を誰が引き受けるのかという制度設計です。
ニューヨーク市の事例は、住宅取得や住宅建設を促進するための減税措置であっても、その終了後に生じる負担まで見通しておかなければ、住宅所有者や入居者、自治体のいずれにとっても大きな問題になり得ることを示しています。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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