今回は、銀行交渉のために知っておきたい「銀行支店長のランク」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

個人保証・担保を外す交渉を「支店長」と行ったが・・・

ある企業(A社)で、個人保証を外す交渉をしました。
担当者では、らちが明かず、“これではダメだ”と、支店長に交渉することとなりました。

 

しかし、これもまた、個人保証・担保を外す交渉をしても、あるいは、他行からの無担保・無保証の提案があると言っても、のらりくらりと交わしてきたのです。

 

実際、無担保・無保証の提案は来ていたのです。なので、借入の一部を、繰り上げ返済しました。

 

すると、すぐにその支店長から、電話が入りました。

 

“何か大きな売上金の入金かなにか、あったのでしょうか!”
“まあ、そのようなところですねぇ…。”
“ご希望の条件を詰めますので、以降の繰り上げ返済は、なんとか、お待ちください”

 

と、いうものの、それでも、まだ、
“社長の個人保証だけは、なんとかなりませんでしょうか?”
と、言ってくるのです。

執行役員の主力店支店長に相談すると事態は急展開

そんな折、この支店の前任支店長と、A社の経営者とが、ばったり顔を合わす機会がありました。

 

この前任支店長、A社のオフバランス成功に協力し、その後、上位支店へ転勤した、やり手の支店長です。いわゆる、栄転です。

 

併せて、執行役員にもなりました。
しかも、A社のオフバランスに協力した際、メインバンクの座を他行から獲得することにも、協力しています。

 

だから、A社には、おどしや、うやむやな対応が効かないことも、前任支店長は、よくわかっているのです。

 

その上位支店長いわく、
“その他行の提案書、名前の部分はわからないようにして、すぐにファックスで送ってくれたら、希望の条件をすぐに通すから!現物を見せたら、話し通しやすいから!!”

 

となり、上位支店長はその場ですぐ、下位支店長に電話をし、その旨、指示をしました。
A社の経営者は、すぐにファックスを流しました。で、即、個人保証、担保が外れたのです。

 

その銀行にしても、メインバンクの座を守れたのです。下位支店長の対応のままでは、ようやく獲得した、メインバンクの座を、他行に奪われていたことでしょう。

 

つまり、支店長と言えど、地方の支店ばかり担当している支店長と、執行役員の主力店支店長とでは、力の差があるのです。支店長にも、ランクがあるのです。

 

条件交渉をする際は、誰に交渉するか、ということが、解決の速さを左右するのです。できることなら、栄転組に、相談したいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧