今回は、「担当者レベル」との銀行交渉が、なかなか進展しない理由について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

個人保証をとることが、銀行にとっては倫理的?

“個人保証を外すことを銀行に交渉したら、なんだか訳のわからないことを言ってきました!”というお声を、ときどきお聞きします。

 

で、内容を聞くと、それが本当に、訳がわからないのです。おそらく、言っている銀行員も、訳がわかっていないと思います。それくらい、無茶苦茶なのです。

 

ある企業で、個人保証を外す交渉をしました。自己資本比率40%を超える、強固な財務体質です。個人保証が必要とされている要件の資料などを見せながら、
“どうして個人保証が必要なんですか?”と、担当銀行員に尋ねました。

 

すると、“誰が責任者なのか、倫理的に責任の所在をはっきりさせるためです”

 

との返事があり、目がテンになったそうです。個人保証をとることが、銀行にとっては倫理的なのでしょうか?
企業にとっては、極めて非倫理的です。

 

で、負けじと、さらに質問したそうです。
“具体的に、どの数字がどのくらいなら外すとか、あるんですか?”
すると、銀行員からは、“いやいや、世間一般的な倫理的なことなので、具体的な数値というものは、ありません。”

 

と、またまた訳のわからぬ煙幕殺法です。

金融庁のガイドラインでは「課題」としているが・・・

金融庁のガイドラインでは、個人保証は、

 

①経営への規律付け

②資金調達の円滑化

 

ということに寄与する一方、

 

➂思い切った事業展開の阻害要因

④経営が窮境に陥った場合の再生阻害要因

 

になっているのが、課題としています。
だから、個人保証をむやみにつけるな、はずしなさい、というわけです。

 

まるで倫理委員のような銀行員の言い分は、①②に該当することであって、③④は、ほったらかしなのです。

 

つまり、金融庁が課題としていることを無視している、ということです。

 

ただし、この交渉には、教訓があります。
担当者レベルに交渉をしかけていても、なかなか進展しない、ということです。
このように煙に巻かれることが多いのです。

 

当たり前です、担当者の成績にとっては、マイナスのことです。うやむやにしたい、というのがホンネです。

 

で、これではダメだ、ということで、支店長に交渉をすることとなったのです。

 

つづく・・・。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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