今回は、銀行がとにかく「格付けの良い企業」に融資をしたい理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「今なら御社にピッタリの制度融資があります」

決算を終え、決算書を融資先に渡したとたん、ある企業に、政府系銀行が、
“お借りいただけませんでしょうか?”
と、尋ねてきました。
“今なら御社にピッタリの制度融資があります”と言うので、経営者も聞いてみました。


“ところで、金利はおいくらなんですか?”
“0.4%でお貸しします。”
“えっ、そうなんですか?”

 

その企業では、これまでそんな金利提示を、政府系銀行はおろか、他行からも、いただけていません。それがいきなり、0.4%です。


“これまで、1%をきった金利提示もなかったのに、どうしてそんなに下がるんですか?”
“いやいや、制度融資ですから低いんですよ”としか、言いません。

 

その企業では、前年度にオフバランスをして、さらに少人数私募債を発行したので、自己資本比率が大きくアップしています。キャッシュフローも改善されています。銀行格付けが上がっているのは、間違いありません。

 

制度融資であろうとなかろうと、銀行は、格付けの良い企業に貸したいのです。金利を下げてでも、貸したいのです。

今の銀行は「金利の獲得」より「貸し付けの額」が重要

“制度融資だと、何かいろいろ書いたり、面倒くさいんじゃないですか?”
と聞くと、

 

“いえいえ、御社が今されている通常の事業のことを、ささっと書いていただけば、それで大丈夫ですので。”

 

とにかく、なんとしても貸したい、という様子らしいのです。制度融資の場合、支店や個人にも、ノルマが課されます。融資担当者が必死になるのも、無理はありません。

 

ズバリ「借り換え」という名目では、政府系制度融資は貸してもらえませんが、結果としてそうなることには、とやかく言いません。

 

銀行にとっては今、高い金利を獲得するより、どれだけ貸し付けているか、のほうが重要なのです。

 

加えて、格付けの良い企業には、なおさら貸したいのです。銀行の今の状況を理解し、有利な銀行交渉を、進めてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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