ロシアのウクライナ侵攻で「漁夫の利」を得る?ルーマニアが企業の移転先として注目される理由

ロシアのウクライナ侵攻で「漁夫の利」を得る?ルーマニアが企業の移転先として注目される理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を受け、ロシアやウクライナから拠点を移す企業の動きが広がっています。その移転先として注目されているのが、ウクライナと国境を接するルーマニアです。EUやNATOの加盟国であり、周辺国と比べて税負担も抑えられているルーマニアは、地政学的な変化を背景に企業誘致の機会を得ています。今回は、同国が企業の移転先として選ばれる背景を見ていきます。

法人税16%、周辺国も低税率を採用

税制を見ると、ルーマニアの法人税率は16%、個人所得税の最高税率は10%、付加価値税(VAT)の標準税率は21%です。周辺国と比較しても、企業活動にとって比較的税負担の軽い国といえます。

 

旧東欧諸国では、現在も西欧のEU加盟国との間に経済格差があります。ルーマニアは、ウクライナのほか、モルドバ、ハンガリー、セルビア、ブルガリアと国境を接しています。

 

近年、ルーマニアの経済力が高まったことで、より高い賃金を求めてルーマニアで職を得るハンガリー人も増えています。こうした動きからも、同国の経済力が周辺国との関係のなかで高まっていることがうかがえます。

 

周辺国の法人税率を比較すると、モルドバは12%、ハンガリーは9%、セルビアは15%、ブルガリアは10%となっています。いずれも比較的低い税率を設定しており、経済振興のために税負担などのコストを抑える政策がとられています。

 

ちなみに、ウクライナの法人税率は18%です。

ロシア・ウクライナからの企業移転も

実際に、ロシアやウクライナなどからルーマニアへの企業移転も始まっています。

 

2023年には、ルーマニアで起業分野を担当する省庁が、ロシア、ベラルーシ、ウクライナからルーマニアへの拠点移転に関するプロジェクトが複数あったことを公表しています。

 

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、両国で事業を続けることが難しくなった企業にとって、ルーマニアは地理的に近く、EU域内で事業を展開できる移転先の一つとなっています。

 

もちろん、企業の移転先がルーマニアに集中しているわけではありません。しかし、ウクライナとの地理的な近さに加え、EU・NATOの加盟国であることや、比較的低い税率などを考えると、同国がこうした企業の受け皿となる背景は理解できます。

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